トイレのハンドドライヤー、なぜ再開しない? 「意外な理由」があって…
トイレのハンドドライヤーは「使用中止」のまま。再開する見込みはあるのか…。
アルコール除菌、マスク、ソーシャルディスタンス──。コロナ禍で世の中のさまざまなものが変わった。トイレで手を洗った後に乾かすハンドドライヤーもその1つ。「使用中止」の紙が張られて使えなくなった。
2年経った今も再開しないのには、「ある理由」が…。
画像をもっと見る
■「使用中止」のところが多い
商業施設や飲食店のトイレに行くと、ハンドドライヤーに「使用中止」「感染拡大のため利用できません」などの紙が張られている。だが、2021年4月に日本経団連は、WHO(世界保健機関)がハンドドライヤーは感染拡大につながらないと結論を出したため、オフィスや工場で使用することを認めた。
ただ、飲食店ではいまだに使えないところが多い。ネット上では「ハンドドライヤーとコロナの関連性を考えてしまう」「ファミレスのトイレのハンドドライヤー停止いつまでやるのかな」「ハンドドライヤー使えないからか女子トイレでも手洗わない人多い」など、利用停止が続くことに疑問を抱く人の声が多数あがっている。
■全体の約3~4割
現在、ハンドドライヤーはどれくらい復旧しているのだろうか。ハンドドライヤーの製造元の1つである三菱電機 中津川製作所に話を聞いた。
「具体的な統計や調査データはありませんが、弊社では数は少ないものの、利用再開された企業や店舗の情報を独自に確認・把握することに努めております。それによると、全体のおよそ3~4割程度と想定しています。オフィスビルや工場のように特定の人が利用する業態等では半数近くが利用再開していると想定されますが、飲食店や商業施設など不特定多数が利用する業態ではせいぜい2~3割程度と考えており、まだまだ稼働が進んでおりません」(三菱電機 中津川製作所)。
■再開が進まない背景
利用再開が進まない背景を尋ねると、「ハンドドライヤーの利用に関しては、経団連をはじめ各業界団体ごとにガイドランが制定・運用されています。最近は徐々に改訂や削除により、利用再開が認められるようになりましたが、いまだに制限がかかっている業界団体等が多いです」(前出・三菱電機 中津川製作所)とのこと。
経団連が問題ないと判断しても、各業界に対応が委ねられているため、一気に利用再開とはならないのだ。それだけ、ハンドドライヤーの利用に慎重な姿勢を崩さないところが多いのだろう。
■再稼働を肯定する声も…
今後、再開する可能性はあるのだろうか。「再稼働の動きはまだまだ完全ではありませんが、昨年度の後半から変化が見受けられます。特に、今年になってから徐々に再稼働に対する肯定的な意見、捉え方が増えてきているように感じられます。弊社でも、一般企業から稼働や利用再開にあたっての注意点・留意事項などについて問合せを受ける機会が増えております」(前出・三菱電機 中津川製作所)。
前出の三菱電機 中津川製作所はコロナとハンドドライヤーの関連性をこう強調する。「ハンドドライヤーは室内空気を搬送しているだけで、感染者の飛沫そのもの(くしゃみ、咳、つば等)を直接飛散させるものではないため、ハンドドライヤーの使用がその他の乾燥手段に比べて感染リスクを高める要因になるとは考えておりません。当社の『ジェットタオル』をはじめ、一般的なハンドドライヤーは非接触式であり、定期的に本体の清掃をし、普通に手を洗い、お使いいただければ使用上の問題はないと考えております」(前出・三菱電機 中津川製作所)。
以前のように気兼ねなくハンドドライヤーが使える日が来るのを祈るばかりだ。
・合わせて読みたい→近藤春菜が“もう中学生と付き合いたい”理由 視聴者も「共感できる」
(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)