蚊に額を刺された21歳パイロット訓練生が死亡 医師は「こんな例は診たことない」
蚊に刺された患部の皮膚が赤く腫れ、ズキズキと痛み、女性は時おり背中の痛みも訴えていた。
イギリスで昨年7月、パイロットの卵として訓練飛行のため欧州各地に飛んでいた当時21歳の女性が、帰国後に体調を崩し入院先の病院で死亡した。その原因がなんと「蚊」であったことを、『The Independent』『Mail Online』などが伝えている。
■民間パイロットを目指す
死亡した女性は、サフォーク州ベリー・セント・エドマンズ出身のオリアナ・ペッパーさん。イージージェット(easyJet)社が行ったパイロット採用の筆記試験に合格し、飛行訓練も最終段階まできていた。
オリアナさんは健康状態には何ら問題がなく、飛行時間と経験を積み重ねるため昨年5月にベルギーのアントワープに飛んだなか、蚊に刺されるトラブルに見舞われていた。
■患部の皮膚と背中が痛む
オリアナさんはアントワープで蚊に額を何回も刺され、その後に患部の皮膚は赤く腫れてズキズキと痛み、時おり「背中も痛い」と言うようになっていた。
そして昨年7月7日、彼女はボーイフレンドの自宅で倒れて救急搬送され、そのまま入院した。医師はあらゆる抗生物質を試したが効果が現れず、同12日、帰らぬ人となったという。
■「かつて診たことのない症例」
このたびサフォーク州の裁判所で開かれた死因審問で、検死に関わった医師は「オリアナさんの直接の死因は敗血症性肺塞栓症でした」と説明。さらにその原因として、アントワープでり患した蚊媒介感染症を挙げた。
蚊が保有していた病原体が額から脳、そして首の頸動脈に移り、できた血栓が肺動脈をふさいだと考えられると説明したが、「このような例をかつて診たことがありません」とも添えたという。
■「成績優秀で自慢の娘だった」
オリアナさんは、両親にとって自慢の娘であり、いまだ悲しみが癒えないという。
そんななかメディアの取材に応じた父親は、「10代でパイロットを目指すようになり、成績はオールAでした」「アリゾナ州フェニックスのパイロット養成スクールで各種のライセンスを取得し、EasyJet社に採用されたのです」と話している。
また母親は「娘が果たせなかった夢を、他の女性の訓練生たちが無事果たしてくれるよう祈り、英国女性パイロット協会を窓口とする奨学金を開設しました」と報告している。
・合わせて読みたい→操縦経験なしの乗客がセスナ機を無事着陸させる パイロットが突然の体調不良で…
(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)