コロナ禍で友達と遊べない幼児は「社会性欠如し発達面に問題」 専門家の指摘が話題に
「パンデミック・ベビーたちはコロナの大きな犠牲者です」と専門家は断言する。
欧米では、コロナ禍で誕生した赤ちゃんを「パンデミック・ベビー」と呼ぶことがある。乳児期から幼児期へという成長の過程において、やや心配な点が多いことがわかってきたと、『USA TODAY』や『Metro』などが伝えている。
■順番を待てず譲れない子供たち
大勢の子供たちが、友達をつくり、遊び、社会性を身につけるべき年齢にありながら、その大事な機会を新型コロナウイルスのせいで長いこと奪われてきた。
ワシントンD.C.にある幼児向け教育施設『Jubilee Jumpstart』のドミニク・スペンサー園長は、『USA TODAY』の取材に「スタッフの話を聞くと、そんな子供たちの多くに『遅れ』が目立つようです」と述べている。
2020年3月以降に生まれたパンデミック・ベビーたちには、発語が遅く、順番を守れない、譲り合いができないなど、社会的スキルが発達していない子が多いというのだ。
■認知機能や問題解決能力にも
また、ブラウン大学の研究チームが幼児の認知機能や問題解決能力についてテストを実施したところ、コロナ禍前と比べ、パンデミック・ベビーでは点数が23%も下がっていることがわかった。
実際にアメリカの有名学習塾チェーン「Sylvan learning」では、3歳未満への指導に需要が急増しているとのこと。保護者からは「発達の遅れを感じる。パンデミックのせいなのか」といった相談が殺到しているそうだ。
■コロナ禍での経済事情も影響
今年5月、イギリスでも「コロナ後、スクールに通い出した4歳と5歳児に変化が表れている」という調査結果が報告されていた。
教室内では、読み書きや班活動といった基本的なスキルが身についていないために戸惑う子供たちが多く、気に食わない相手を噛んだり叩いたりする事例も増えているそうだ。
また、コロナ禍で経済的に困窮した家庭の子供たちでは、半数以上が感情面のトラブルを抱えていることがわかったという。
■長期の観察やケアが必要
子供は子供同士の人間関係のなかで成長するとよく言われるが、パンデミック・ベビーではその機会が少なすぎた。
そのせいで発達や社会性、学校生活を送るための基本的スキル、感情面など、さまざまな点で不安を抱えていることは理解できたが、この時期のつまずきは適切なケアにより取り戻せるものなのか。
「初めてのことだけに結論が見えません」と話す『Jubilee Jumpstart』のスペンサー園長は、パンデミック・ベビーたちは新型コロナウイルスの大きな犠牲者だと断言。親はわが子の成長を長期にわたり見守っていく必要があるようだ。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)