鋳造所の1400℃超える溶解炉で作業員が転落死 半年前にも死亡事故が…
過去にも肋骨骨折、指切断ほか多数の事故が起きていたその鋳造所。何度も罰金刑が下っていた。
アメリカ・イリノイ州の鋳造所で、きわめて高温の溶解炉に作業員が転落し、即死したことが伝えられた。その鋳造所では半年前にも事故が起き、やはり死者が出ていたと『World Socialist Web Site』『Charlotte Observer』などが報じている。
■妻と3人の娘を残し…
事故は2日午前9時すぎ、イリノイ州ピオリア郡のメープルトンにある「Caterpillar」社の鋳造所で発生。すぐ脇で作業していた男性作業員のスティーヴン・ディアケスさん(39)が、つまずいて溶解炉に転落したという。
鉄をも溶かす摂氏1,400度を超える溶解炉とあって、遺体の完全なる回収は困難をきわめ、妻と幼い3人の娘は突然の悲劇で悲しみに打ちひしがれている。
■勤務5日目だった
その鋳造所は、自動車のエンジン部品であるシリンダーブロック、ヘッド、カムシャフト、クランクなどを製造していた。
今、関心を集めているのは、同僚の1人がSNSでスティーヴンさんの死を悼み、「スティーヴンはこの鋳造所に来てまだ5日しか経っていなかった」とつづったこと。こうしたことから、十分な指導がなされないまま危険な作業場に送り込まれていた可能性もありそうだ。
■事故が相次いで発生
この鋳造所は半年ほど前の2021年12月にも、高いハシゴから転落した50歳の派遣作業員が死亡。過去にも肋骨骨折、指切断ほか多数の事故が起き、その度に罰金刑が下っていた。
従業員や作業場の安全管理体制に不備があるのは明らかだとして、労働安全衛生庁(Occupational Safety and Health Administration)の職員と地元警察が立ち入り検査を実施。責任者に対する厳しい事情聴取が続いている。
■日本でも同様の事故が
日本でも2012年5月、愛知県西尾市の自動車部品製造工場で、溶解炉の不純物を取り除く作業を行っていた50代後半の男性が、直径1.2メートル、深さ2メートルの炉に転落し死亡していた。
男性が行方不明になっていたなか、摂氏1,500度の炉の内部に人骨らしいものがあることを、20代の社員が発見したという。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)