レースで脚1本を失い供血犬になったグレイハウンド 64匹の命を救い「特別賞」受賞
日本でも、血液ドナーになれる犬猫のボランティアを呼びかけているそうだ。
私たちが献血をするように、犬や猫にも血液を提供する「供血犬」「供血猫」が存在することをご存じだろうか。人間は手術や交通事故の際に大量の血液が必要になることがあるが、犬猫でもそうした緊急事態に見舞われることがあるからだ。
そして供血する側にもリスクが伴う。長きにわたり献血を続け、多くの犬の命を救ってきた3本脚の供血犬が、このたび栄えある賞を受賞した。『Mirror』や『TIMES NOW』などの海外メディアが報じている。
■レース中に脚を損傷
スコットランドのミッドロジアンに、飼い主のアマンダ・ウェルズさんと一緒に暮らしているオス犬のヨハン。レースに出場させるべく誕生したグレイハウンドで、幼い頃から訓練を受け、数々の大会に出場するようになった。
ところが2歳の誕生日を迎える少し前、レースの最中に右後ろ脚の腱を損傷してしまった。
■新しい生き方を見つける
その後も同じ脚のケガが重なり、当時のオーナーと獣医師の相談のもと、ヨハンは右後ろ脚の切断を余儀なくされた。
弱冠2歳にして、レース人生が終わってしまったヨハンは、新しいオーナーのアマンダさんに引き取られた。しかしそれは「終わり」ではない。新たな生き方を見つける始まりだった。
■64匹の犬を救う
脚を1本失ってしまったヨハンだったが、アマンダさんは彼の丈夫で健康な体を見て、「レースはできなくなってしまったけれど、役に立てることがあるはず」と感じたそう。
そこでイギリスの「ペット・ブラッド・バンク」に登録。これまでに16回の献血を行い、64匹の犬たちの命を救ってきたという。
その業績を称え、団体はこのたびヨハンに「ブランブル・クラドック賞」を贈呈。ニコール・オズボーン代表は「血液銀行にとって、ヨハンくんは今や中心的な存在です。彼とアマンダさんの優しさにはいつも感謝しています」と述べた。
■犬の血液型は13種類
血液型が13種類もあると言われている犬。型が違っても輸血はできるが、個々で適合するかは事前に確認が必要だという。
また献血できるのは1~8歳までで、15キロ以上の体格を持ち、メスの場合は避妊済み、オスは交配経験なしなど細かい条件がある。小型犬が増え、ドナーになれる大型犬が減少しているのが現状だ。
そして1度の献血で体内の4分の1の血液を抜き取られるため、健康な個体であっても献血後は一時的に体調を崩すことがあるという。
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(文/Sirabee 編集部・桜田 ルイ)