19歳の男が偽のPCR検査センターを設立 わずか4ヶ月間で約8億円を搾取
当時18歳で学生だった男が、行政に架空請求を行い…。銀行員が気付かなければ、今後も詐欺は続いていただろう。
銀行やクレジットカード会社は不審な点がないか、また詐欺にあっていないかなども含め、日夜利用者の口座を監視している。観光地でもない海外の土地や出張先でクレジットカードを使うと、確認のための電話がかかってくることもあり、その徹底したセキュリティ管理体制には驚かされる。
このたびドイツで、偽のPCR検査センターを設立し、詐欺行為を働いていた男が御用となった。『Oddity Central』など海外メディアが報じている。
■偽検査センターを設立
ドイツ・フライブルクの裁判所でこのたび有罪判決を受けた男は19歳。新型コロナウイルスが流行し始めた2020年、17歳のときに、PCRや抗原検査などを行う偽の検査センターを設立することを思いついた。
流行の最盛期から2021年にかけ、ドイツ全体の検査数は連日相当の数にのぼり、行政だけでは対応が追いつかず、州は各地の民間検査センターを実際に頼りにしていたのだ。
■8億円もの架空請求
そして18歳の学生だった彼は、2021年3月に検査結果の用紙を作成し、検査実施件数の報告とともに行政に架空の請求書を送り続けた。
1日に最大5,000件の請求を行っていた日もあり、彼はわずか4ヶ月間に50万件を請求。総額570万ユーロ(日本円にして約8億円)を不正に受け取っていたという。
■銀行員が不信感を抱く
しかし2021年6月、ある銀行で弱冠18歳の学生の預金口座の残高が急激に膨れ上がったことが話題になった。監視を続けていた銀行員が気付き、不信感から上司に報告したのだ。
その後、詐欺行為を確信した銀行は警察に通報。迅速な捜査や取り調べが行われ、男の逮捕・起訴に至った。さらにこのたびの裁判で、男に有罪判決が言い渡されたという。
■未成年として裁判に
現在は19歳になっているものの、犯行当時は18歳以下だった。そのため被告は未成年として裁判にかけられ、刑罰としては全財産の没収、1年間の保護観察、および1,500ユーロ(約21万円)の罰金支払いのみに留まったという。
ただし検事当局は「余罪については今後も調査を続ける」と発表。新たな制裁を課す可能性がある模様だ。
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(文/Sirabee 編集部・桜田 ルイ)