大学生のイッキ飲みとコール文化が消えた…? 女子大生に聞いた「飲み会事情」
「飲み足りないから持ってるの?」。大学生の間でおなじみのコールに「異変」が起きていて…。
「な〜んで持ってんの? 飲み足りないから持ってんの? はい、飲~んで飲んで飲んで~」「ごちそうさまが聞こえな〜い」「それ、イッキ! イッキ! イッキ!」──。主に大学のサークルや友人同士の飲み会では、こうしたコールやイッキ飲みが繰り広げられることが多い。
20年近く受け継がれた「伝統」になりつつあったが、いま大学生の飲み会に「異変」が起きていて…。
■イッキ飲みは流行語に
大学の新入生歓迎会やイベント後の打ち上げ、合コンなどで、場を盛り上げる「コール」は定番だ。1985年にイッキ飲みを煽る「イッキ! イッキ!」という掛け声が同年の新語・流行語大賞になって以来、「コール文化」は世代を超えて受け継がれてきた。
一方で、大量のアルコールを摂取し、急性アルコール中毒で救急搬送されたり、命を落とす事故がたびたび起きていたことも事実。ただ、20年近く存在していた風潮に変化が起きている。
18年に関西の大学に入学し、音楽関係のサークルに入っていた女性のAさんはこう話す。「私が入っていたサークルは部活に近いこともあってか、飲み会はそんなに激しくありませんでした。イッキ飲みを強要されたり、コールをされたこともありません。大学側からサークルの上層部に対して、新歓の時期にイッキ飲みをさせないよう注意されていたのだと思います。大学周辺の居酒屋でも『未成年の飲酒お断り』と貼り紙があり、学生証の提示を求められるなど、厳しかった印象です」(Aさん)。
■「イッキ飲みもコールも経験ない」
飲酒事故が多発したことで、大学側も対策を強化しているのだろう。そのためか、コールもイッキ飲みを強要するものではなくなりつつあるようで…。
「一部のサークルでは、コールがあったと聞いたことがあります。ただ、それも場を盛り上げる軽い罰ゲームくらいのもの。先輩も『飲めなかったら大丈夫だよ』と無理やり飲ませることもないそうです。私の周りではトイレに駆け込んだり、その場で吐いてしまう人を見たことがありません。みんなセーブして楽しく飲んでいるイメージです」(前出・Aさん)。
「無茶な飲み方はせず、楽しくスマートに飲む」というのが最近の学生の主流なのだろうか…。コロナ禍の20年4月に都内の大学に入った女性・Bさんは現在3年生だが、イッキ飲みもコールも経験したことがないという。
「1年生のときはサークルがまったく動いておらず、授業もすべてオンラインでした。後期になって対面授業が週1回ありましたが、飲み会をするようになったのは2年生になってからですね。落ち着いた雰囲気の飲み会が多く、先輩たちも『無理はしないでね』と言ってくれます。友達からも、イッキ飲みやコールを受けたという話は聞いたことありません」(Bさん)。
■飲酒による事故は起きている
大学やサークルによって雰囲気も異なるため、一概には言い切れないが、コロナ禍で大人数の飲み会が減ったことで、「コール文化」が薄れているのかもしれない。ただ、大学生の飲酒事故がなくなったわけではない。
イッキ飲み防止連絡協議会 事務局の今成知美(ともみ)さんが警鐘を鳴らす。「20年、21年と大学生の飲酒運転による死亡事故が起きています。カラオケにお酒を持ち込んで飲み会をしたり、離島に合宿に行って飲酒した後に運転して事故が起きたケースがあります。規制が厳しかった時期でも、こうした事故は起きているんです。また、Tik Tokにアップされた飲み会のコールを紹介する動画や有名なユーチューバーがすごろくをしながら強いお酒を飲む動画が高い再生数を記録しているので、安心はできません」(今成さん)。
■「夏と秋が要注意」
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除され、全国の大学で対面授業が再開し、サークル活動も始まった。前出の今成さんは、これからの時期に注意が必要だと指摘する。
「今まで飲めなかったうっぷんを晴らそうと、過度な飲酒をしてしまうリスクがあります。11年の東日本大震災の年も自粛ムードで大学生の飲み会が減少していましたが、翌年救急搬送される事故が急激に増えました。お酒の場での死亡事故は、飲ませる側も殺そうと思って飲ませているのではなく、おもしろおかしくノリで飲ませることで起こります。特に、サークルの合宿がある夏場と学園祭の打ち上げが行われることが多い秋は注意が必要です」(前出・今成さん)。
キャンパスライフを満喫できるようになり、解放的な気分になるかもしれないが、お酒の場では注意が必要だ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)