欧米で感染が広がるサル痘 ロシアでは過去に生物兵器として活用案も

致死率は低くほとんどの人が回復するサル痘だが、小児において重症化例も。

2022/05/24 09:30

研究・研究所

ナイジェリアからイギリスに帰国した1名において、人獣共通感染症の「サル痘(英名:monkeypox)」を発症したと当局が発表して約1週間、今では中央・西アフリカはもちろん、欧米と豪州でも感染者が複数出ている模様だ。

そのサル痘ウイルスに関し、ロシアの元軍事責任者の1人が、過去に恐ろしい発言をしていたことがわかった。イギリスの『Mirror』『Metro』などが報じている。


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■旧ソビエト軍の元大佐

過去の発言が注目を集めているのは、旧ソビエト軍の元大佐でアメリカに亡命したカナト・アリベコフ(別名:ケネス・アリベック)氏。ソ連が完全に崩壊した1991年まで、軍の生物兵器開発プログラムの副責任者を務めていた人物だ。

そのアリベコフ氏が1998年、「化学・生物兵器不拡散プログラム(CBWNP)」とのインタビューで放ったサル痘に関する発言が、再び注目を集めているという。

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■天然痘にワクチンが登場し…

そのインタビューでアリベコフ氏は、「ワクチンの登場で根絶したことを受け、ソ連軍は天然痘の使用を断念した」と語っていた。

彼のミッションは天然痘に替わる危険な生物兵器の開発だったといい、「少なくとも1990年代の初頭まで、ロシア政府にはサル痘ウイルスを生物兵器として利用する案があった」とも話していた。

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■数々の病原体で実験

アリベコフ氏は、新たな生物兵器を開発するべく、さまざまな研究を重ねていたと明かしており、実験に使われたウイルスの種類も具体的に挙げていた。

ポックスウイルス科オルソポックスウイルス属のワクシニアウイルス、強毒のマウスポックスウイルス、家兎痘ウイルス(ウサギポックスウイルス)、サル痘ウイルスなどで、強毒化するため、あるいは人と人の間で感染が広がるよう、遺伝子に変異を加えることもしていたという。


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■研究施設では爆発事故も

アリベコフ氏は、ほかにも米国議会の公聴会の場で「ロシア軍の生物兵器使用計画は完全には解体されていない。兵器庫には危険なウイルスが複数保管されているだろう」と述べていた。

そんな中で2019年9月16日、コルツォヴォの「ロシア国立ウイルス学・生物工学研究センター」で爆発事故が発生。作業員1人が近くの病院に搬送され、そこでエボラ出血熱ウイルス、炭疽菌、天然痘ウイルスといった大変危険な病原体を保管していたことが明らかになった。


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■小児においては重症化例も

感染の1〜5日後、皮膚に隆起をともなった発疹が生じるサル痘。1950年代に初めて霊長類で確認され、1970年代には人への感染例が確認された。

人同士では血液、体液、水疱、かさぶたに触れるなどして感染し、発熱、頭痛、筋肉痛、腰痛、リンパ節の腫れ、悪寒、倦怠感などが現れ、2〜4週間続いて完治する。会話だけで感染が疑われた例があることや、小児において重症化例が確認されていることには注意が必要だという。

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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ

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