震度4頻発で気になる対策は? 「家族にすぐ連絡、外に逃げるはNG」最新の”防災知識”
ここ最近、地震が頻発している。最新の対策には、かつての常識が通用しないものもあって…。
3月から4月にかけて震度4の地震が頻発した。大きな揺れを経験したことで防災への意識を高める人も増えている。
そうした対策をする上で、最新の「防災知識」を身につける必要がある。たとえば、「地震直後、家族に連絡する」「外に逃げる」など、これまでの常識が通用しないこともあって…。
■身動きが取りにくい状況で発生
19日の朝、茨城県北部で震度5弱の地震が発生した。3月から4月にかけて、北海道から和歌山県では、震度4以上の地震が17回を記録するなど、大きな揺れが頻発している。
通勤・通学で外にいるときや家で寝ているときなど、身動きが取りにくい状況で発生することもある。そうした揺れで危機感を抱いたためか、大手家電量販店では防災グッズの売れ行きが上がるなど、万が一に備える人が多いようだ。
ネット上でも「まさかのときのために防災をしっかりしないと」「防災グッズは十分だけど、非常食は賞味期限切れもあるから不安」「もう日本のどこでも地震起きるから安心できない」「防災グッズも買ったりしないとだけど、何からすればいいかわからない…」など、地震への関心の高さがうかがえる声が多数見受けられる。
■「地震直後に連絡はNG」
通勤、通学中で外にいるときに地震が起きた場合、どのような行動を取ればいいのだろうか。危機管理アドバイザー・国崎信江さんに話を聞いた。
「ガラス片が落ちてくることがあるのでカバンなどで身を守り、建物の中に入るのがいいでしょう。乗り物に乗っている場合は、身体が弾き飛ばされないようにしましょう。場合によっては、丈夫な建物の中に入ったほうがいいですが、建物内は上の階から人が続々と降りてくるので、その中で邪魔にならない場所を探さなければなりません。学生時代に受けた避難訓練の影響で、外に出ようとする人が多いため、建物内ではそうした人たちとぶつかる可能性があるので注意が必要です」(国崎さん)。
揺れがおさまったら一刻も早く家族に連絡する…というのは間違いだという。「多くの人が家族や友達に無事を確認しようと連絡しますが、その後大きな揺れが起きたり、火災や津波、土砂崩れ、液状化現象などの二次災害が発生する危険もあります。連絡を取るよりも、その時間を有効に使って、より安全な場所に身を寄せることが大切です。東日本大震災でも、家族に連絡を取ることに必死になって、津波に巻き込まれて亡くなった方もいました」(前出・国崎さん)。
家族とは事前に緊急事態での行動を打合せしておくのがいいだろう。
■「とりあえず外に出る」は危険
では、家にいるときに大きな揺れが起きたらどうすればいいのか。身を守るため、なんとしても外に逃げようと思うかもしれないが、前出の国崎さんは必ずしもそうする必要はないと指摘する。
「耐震性が低いところに住んでいるのであれば、這ってでも外に出たほうがいいですが、耐震性があるところならむしろ外に出て慌てて行動するとケガをするリスクが高まるので避けたほうがいいでしょう。また、耐震性が低く、2階で寝ている場合はそこにとどまったほうがいいです。1階部分が全損して2階は残るなど、2階にいれば救われたケースもあるからです」(前出・国崎さん)。
津波が発生するなど、一刻も早く避難しなければならない状況は別だが、耐震性を確認せず「とりあえず外に逃げる」という意識は改めたほうがいいということだ。
■防災グッズにも注意が必要
地震が頻発していることから防災グッズを買う人も多いが、注意点があるという。「日本の耐震化率は年々上がっているため、避難する必要がない人も増えています。そうなると、外に持ち運ぶ防災バッグが不要になります。住んでいるエリアによっては外に避難したほうがいいケースもありますが、非常持ち出し袋を作るよりも、在宅避難で使う卓上カセットコンロや蓄電池などを重視したほうがいいです。特に、電気の代わりとなる蓄電池は必須です。ライフラインが途絶えたり、携帯が充電できないといまの時代困りますからね」(前出・国崎さん)。
卓上のカセットコンロや手元の灯りで使うヘッドライト、作業するのに使うランタン、簡易トイレも必要だ。「大体、1日に平均7~8回トイレを利用しますが、ストレスや緊張で近くなることも想定して、1日10回行くと考えたほうがいいでしょう。それを家族の人数分×10日分用意しましょう。あとは、飲み物や食べ物、応急手当品や掃除用品です。ガラスのコップが床に飛び散ったり、本棚が壊れるなど、床に物が散乱したときに片づけるものが必要ですからね。手袋も割れ物に強い耐刃手袋を用意しておいたほうがいいでしょう」(前出・国崎さん)。
簡易トイレと聞いて、どんなものかピンとこない人がいるかもしれない。Amazonを見ると、折りたたみ式で組み立てる椅子のようになっていて、1個150円程度で買えるものもある。よく寝床には靴を置いておくようにと言われるが、いまの時代、耐刃手袋まで備えておくと、万が一の際に役に立ちそうだ。
非常事態に備えて、自分が何をするべきかきちんと把握しておくことが大切だ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)