知床観光船遭難の原因は悪天候だけではない? 洞爺丸事故にもあった「偽りの晴れ間」
知床の観光船で起きた痛ましい遭難事故。1954年の洞爺丸事故でも「偽りの凪」が…。
北海道・知床で起こった観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」の沈没事故は、11名の死亡が確認される痛ましい惨事となりました(26日朝9時時点)。当時の気象状況などをまとめ、気象予報士の千種ゆり子が今後の教訓を探っていきます。
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■23日9時頃は寒冷前線が通過
9時の時点で、知床は寒冷前線が通過済みでした。寒冷前線が通過する際には、強風などの危険な現象が起こりやすく、注意が必要です。
最寄のアメダスである宇登呂(ウトロ)の観測データをみると、朝に最大風速・最大瞬間風速を観測しているものの、20m以上といった突風を観測しているわけではなく。海難事故が起こったにしては「観測された風が弱いな」という印象です。
■ウトロの風は実際より弱く観測?
風というのは観測状況の影響を強く受けるので、宇登呂アメダスの周囲の状況を確認してみます。
宇登呂アメダスは標高144mの場所に設置されており、その南側には知床半島の山々、そして西側にも、標高200m程度の小高い山があるために、風が遮られやすい地形となっている可能性があります。これにより、風がやや弱く観測され、海の状況とはやや差が出ていた可能性があります。