元職員・卒業生ら約100人が脳腫瘍を発症した米高校 建設時の盛土が汚染か
在校生約1,300人の不安は大きく、現在はキャンパス全体で放射線測定が行われている。
今年3月、アメリカの『CBS News/New York』がニュージャージー州のある高校を舞台に65人の(元)住民が次々と脳腫瘍を発症し、死者が出ていることを伝え、全米に衝撃を与えていた。
さらなる調べで、その数が100人近くに上ることがわかったと、『NJ.com』や『NEW YORK POST』などが伝えている。
■ 本人と妻と妹が…
問題が発覚したのは、ニュージャージー州のウッドブリッジにあるコロニア高校。退職した職員や卒業生が次々と悪性度の高い脳腫瘍を発症し、死者もいることが明らかになったのだ。
かつてウッドブリッジに暮らしていた環境科学者のアル・ルピアーノさん(50)は、「しっかりとした調査と事態の改善が必要です」と述べている。27歳で脳腫瘍と診断され、治療が成功するも今だに後遺症に苦しんでおり、妻と妹も同じ病を発症。妹は昨年に44歳で死亡した。
■Facebookを通じて調査
3人とも膠芽腫という稀なタイプの原発性脳腫瘍であることが、不思議でならなかったというルピアーノさん。彼は6週間ほど前、Facebookを通じて詳しい調査を開始した。
すると、1975年から2000年の間にコロニア高校にいた職員や生徒のうち、少なくとも65人が神経膠芽腫、聴神経腫、血管芽腫、髄膜腫などを含む数種の原発性脳腫瘍と診断されていたことを知った。
さらなる調査で、現在その数は元職員94人、卒業生1人の計95人に膨れ上がっているという。
■ 電離放射線の影響
学校は1967年に建設された。 ルピアーノさんは「未開の土地の森林を伐採して建てたため土壌汚染は考えにくく、空気や水の汚染でもないとわかりました」と話す。
自分の原発性脳腫瘍の原因について、α(アルファ)線、β(ベータ)線、γ(ガンマ)線、エックス線、中性子線といった電離放射線のせいだと断言する彼が注目したのは、アメリカ政府が原爆開発・製造計画を進めた第二次大戦中の「マンハッタン計画」だった。
■ウラン鉱石採掘で出た土を?
付近の歴史をたどると、学校から20キロ弱の地点でウラン鉱石の採掘工事が行われていたことがわかった。ルピアーノさんは「汚染された土がコロニア高校の建設現場に運び込まれ、盛土に使用されたのではないか」と指摘している。
彼はすでに市、州、保健医療や環境保護にかかわる連邦各機関、さらに連邦有害物質・疾病登録局に詳しい調査を依頼した。だが在校生約1,300人の不安は大きいといい、現在キャンパス全体で放射線測定が行われている。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)