陰謀論者がSNSで航空会社を中傷 「人工降雨で洪水を起こしている」
天候不順が続くオーストラリアで、新たな陰謀論が生まれた。槍玉にあげられた航空会社には、100件を超す脅迫が…。
オーストラリアの航空会社は、パイロットが洪水などの災害を人為的に引き起こしているという陰謀論をSNSで広められ、100件を超す脅迫を受けていると述べた。『CBS News』『Head Topics』などの海外メディアが報じている。
■記録的な集中豪雨
オーストラリアでは、過去2ヶ月間にわたって集中豪雨による被害が相次いでいる。特に東海岸の降雨量はすさまじく、シドニーでは一晩でほぼ1ヶ月分の雨が降り、家屋や車を飲み込む大きな洪水を引き起こした。
シドニーの今年に入ってからの降雨量は、すでにこれまでの年間平均を上回っており、4,000人以上が洪水による非難を余儀なくされているという。
■人工降雨が原因?
相次ぐ天候不順に対して、陰謀論者たちはソーシャルメディアで誤った主張を広めており、その標的とされたのがオーストラリアの航空会社「ハンデル・アビエーション」のパイロットだ。
実際にネット上では「ハンデルのパイロットは、リズモーとバリナ上空で人工降雨を行い、眼下に広がる大洪水を楽しんでいた」という投稿が広く共有されている。
■脅迫の被害が相次ぐ
こうした陰謀論を唱える者の1人で、ハンデル社の航空機の飛行経路をオンラインで共有しているアリス・マコールさんは、パイロットが「雨を活性化する化学物質を投下している」と主張している。
同社はSNS上のこうした風説により現在まで100件を超える脅迫を受けており、「その中にはパイロットの名前や住所を送りつけ、報復をほのめかす内容のものもありました」と述べている。
■実際は被災地の地図作り
ハンデル社はAFPの取材に対して、人工降雨を行っておらず、化学物質も投下していないと語っている。また同社のマネージャーは、電話をかけた人々の何人かは洪水ですべてを失い、同社に責任があると思ったと言って苦しんでいたと話した。
なお、ハンデル社の航空機が東海岸上空を飛んでいた本当の目的は人工降雨ではなく、航空写真を撮影して被災地の地図を作成するよう依頼されていたからだという。
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(文/Sirabee 編集部・びやじま)