値上げラッシュが衣替えにも影響? 大手クリーニング店に問い合わせると…
日用品や食料品が相次いで値上げしているが、クリーニング業界にも影響を与えそうで…。
少しずつ暖かい日が増え、上着を腕に抱えることも増えた。そろそろ、冬物のコートやダウンをクリーニングに出そうと思う人も多いのではないだろうか。
衣替えを考えていた人にはショックかもしれないが、ウクライナ情勢による値上げラッシュがクリーニング業界に広がる可能性があるという。4月から値上げに踏み切るのか、大手クリーニング店に問い合わせると、意外な答えが返ってきて…。
■値上げの波が広がる
4月になり、値上げの波が広がっている。食品では、明治の十勝スライスチーズ7枚入りなどのチーズが10~25円、カゴメのトマトケチャップは3~9%値上げした。
日本製紙クレシアは30以上の品目で10%ほど値上げし、花王の乳児向け紙おむつの価格も10%上がった。コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻で、値上げを余儀なくされているのだ。
■原油の値上げが影響
実は、この値上げの波はクリーニング業界にも忍び寄っている。一見、ウクライナ情勢と関連が薄いように見えるが、どんな影響があるのだろうか。
都内のクリーニング店で働くスタッフが表情を曇らせる。「洗濯に使う溶剤やハンガー、ビニールなど、クリーニング店で必要なものは原油由来が多いんです。また、重油でボイラーを動かしてアイロンをかけるため、さまざまな面からコストが上昇しています。実は、クリーニング業界もかなり打撃を受けているんですよ」(都内のクリーニング店スタッフ)。
最近、暖かくなってきたことから冬物のダウンやコート、布団などをクリーニングに出そうと思っていた人も多いはず。値上げすると、衣替えにも影響しかねないが…。
■「セール時期と重なる」
クリーニング業界も、春の値上げラッシュの波にのまれてしまうのか。前出の都内のクリーニング店スタッフは、簡単に値上げはできないと話す。
「クリーニング業界は3~5月で、1年間の売り上げの半分近くを稼ぐ特殊な業態です。衣替えシーズンは、他店と差別化するためにセールを実施することが多いです。お客さんの中には、品物の仕上がり具合でお店を選ぶ方もいますが、ほとんどの人は安さを求めますからね。そんな稼ぎ時に安易に値上げはできませんよ」(前出・都内クリーニング店スタッフ)。
■大手クリーニング店の回答は…
この春から値上げに踏み切るのだろうか。白洋舎に問い合わせると、「3月1日付で発表いたしておりますが、4月1日よりワイシャツ等の日用品はおよそ10%、平均で15%クリーニング料金の改定を行います。ただ、コロナ禍による業績低迷等の要因もございますため、ウクライナ情勢や原油のみを理由とするものではありません」(白洋舎広報・IR室)と、値上げするという回答。
セール開催については、「地域単位では業績動向を鑑みて個別のキャンペーンを検討する可能性もございますが、本社主導での全国統一的なセールは現時点では予定しておりません」 (前出・白洋舎広報・IR室)とのことだった。
ポニークリーニングに問い合わせると、「重油は値上げしていますが、それによるクリーニング料金の引き上げは現段階では考えておりません。3月に人件費等の理由で20円ほど値上げしたため、再度値上げすることはありません。すでにダイレクトメールでご優待し、3月からセールも開催しております」 (ポニークリーニング営業部)という回答。
値上げラッシュの波はどこまで波及するのだろうか…。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)