80代夫が浮気した18歳年下の妻を殺害 「せん妄」の主張認められ無罪に

せん妄は、高齢者に起きることがある意識精神障害の1つだという。

2022/03/31 07:00

高齢者

イタリアで2年前、高齢の夫が年の離れた妻を自宅のベッドで殺害する事件が起きた。「せん妄」という症状に注目が集まったその裁判が、このほどついに結審したことを、『Mail Online』『Opera News』など英米のメディアが伝えている。


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■高齢の夫と高収入の妻

イタリア・ロンバルディア州のブレシアで2019年10月、高齢の夫が18歳年下の妻の浮気を知って激怒して、睡眠中を狙って刃物で刺し、棒で殴るなどして殺す事件が起きた。

死亡した妻のクリスティーナ・マイオリさんは63歳で、文学を教える現役の大学教授であり収入も高かったという。夫のアントニオ・ゴッツィーニ被告(81)はすでに年金生活者だった。

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■弁護人は「せん妄」を主張

アントニオは犯行後に友人に電話してすべてを告白し、通報により逮捕され、殺人罪で起訴された。

検察側は最低でも懲役21年を求刑。一方で弁護人は、犯行当時の被告の精神状態について一貫して「高齢者に起きがちな『せん妄』に支配され、興奮の抑えがきかなくなり、判断能力が著しく低下していた」と、無罪を主張してきた。

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■控訴審も無罪に

「せん妄」の主張がどこまで認められるかに注目が集まっていたこの裁判。一審に続き、今月25日の控訴審でも裁判官は無罪の判決を下した。

妻の浮気を知って以来、被告人はうつ病に苦しんでいた。また妻の遺体を長時間見つめるなど犯行後は呆然としていたこと、その後に抗うつ剤を大量に飲み、静脈を切って自殺を図るも死にきれなかったことなどから、「せん妄状態で責任能力がない」と判断されたという。

ただし精神症状は現在さらに悪化しており、被告はそのまま病院の精神科へと送られた。


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■せん妄とは

せん妄は高齢者に起きることがある意識精神障害の1つで、幻覚や極度の興奮により精神が錯乱し、判断能力が働かなくなること。認知症とは異なり、突然発症して数時間~数週間後には正常に戻る。

高齢者で軽度の認知機能低下がある場合に、急病や身内の不幸など心身のストレスがきっかけとなって発症するケースが多いという。発症を防ぐにはとにかく健康状態を良好に保ち、生活環境上の変化や過度な刺激を避けることが重要だそうだ。

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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ

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