地震影響で電力需給が悪化 「今夏クーラーつけられない?」の真偽を電力会社に聞いた
来年冬の電力需給が厳しい見通しであることが判明。ただ、「夏のほうが心配」の声も…。
25日、経済産業省が来年冬の東京電力管内の電力需給について、安定供給に必要な数値を下回る見通しであることを示した。ネット上では、早くも出された冬の電力供給関連の発表に「その前に、夏場クーラーがつけられないのでは?」と心配する声もあがっている。
今年の夏は冷房も“控えめ”で過ごさなければならないのか。東京電力に聞いてみると…。
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■多くの人に不安を与えた警報
22日に経産省が発令した電力需給ひっ迫警報は、多くの人に不安を与えた。原因は、16日の福島県沖で起きた最大震度6強の地震。東日本で一部の火力発電所の運転停止が続き、供給力が低下したことが尾を引いている。
さらに、22日に東京で季節外れの雪が降る予報が出たことで暖房需要が大きく増えることを想定し、前代未聞の警報が発令されたのだ。一時は、東京でも最大300万軒停電する可能性も取りざたされたが、最悪の事態は免れ、23日に警報は解除された。
■来年冬に厳しい見通し
警報が解除され安心した矢先の25日、経産省が2023年1~2月の東京電力管内の電力需給に関して、“供給量のゆとり(余裕)”を示す電力供給予備率は3%を下回る見通しであることを発表したのだ。
この予備率、最低3%程度は必要とされているが、東京都の現段階での供給予備率の見通しは来年1月が0.1%、2月が1.0%と基準値を大幅に下回っている。
早くも来年の冬の心配をしなければならないのは気が重いが、その前に不安の種がある。夏場の冷房だ。
■夏場の心配をする声が
冬が厳しい見通しであるという発表に対して、ネット上では「夏場はクーラーつけないと厳しいから夏のほうが心配…」「4月が過ぎたらあっという間に暑い日がくるのでは?」「節電で夏にエアコン使えなくなったらいやだな」など、夏の電力を心配する声があがっている。
たしかに、夏場はクーラーがないと眠れないほどの暑さに見舞われたり、子供が夏休みで家にいるため、長時間冷房をつけるイメージがある。近年テレワーク実施率が増えたことも影響しているだろう。
また、冬場は服を重ね着するなどして対策もできるが、暑さに関してはどうしても電力に頼らざるを得ないのが今の日本の実情だ。
■東京電力に問い合わせると…
夏場の電力需給は問題ないのだろうか。東京電力パワーグリッド広報に聞いた。
「すでに経済産業省の資源エネルギー庁が『夏場は安定供給に必要な3%を確保できる』という見解を出しています。そもそも、需給関係というのは、現状の供給力を積み上げ、足りない分があれば手配して調整しています。そのため、よく夏場の電力供給が基準を満たしていないと報道されることもありますが、そうした状況でも調整して満たせるようにします。現段階では、夏場に節電をお願いする予定はないので、心配ないと思います」(東京電力パワーグリッド広報)。
夏にクーラーが使えなくなる心配はないようだ。ただ、冬場に厳しい見通しが予想されているため、ひとりひとりが無駄な電気を使わないよう意識を持って行動しなければならない。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)