バードストライクで吹き飛んだプロペラが機内へ 半壊状態で着陸させた機長らに称賛
後に公開された写真から、機内は甚大な被害だったことが判明している。
急病人の発生や乱気流が原因の激しい揺れなど、空の旅ではさまざまなトラブルが起きている。このたび南アフリカの航空会社では、バードストライクが原因とみられる重大な事故が発生していた。ベルギーの『Aviation24.be』やインドの『Indiatimes』が報じている。
■約20年前の飛行機
事故が起こったのは、南アフリカ・ヨハネスブルクの空港を離陸したエアーリンク航空の1機。クルーガー国立公園が有名なリンポポ州にあるヴェネティア・マイン空港へ向け、定刻通りに出発していた。
機体は、イギリスの航空機メーカーであるBae(現BAEシステムズ)社が1991年から97年にかけて製造した、中型旅客機のジェット・ストリーム41だった。
なお、エアーリンク航空は、南アフリカ航空およびサウス・アフリカ・エクスプレスと提携しており、国内線としては大きな実績がある。
■プロペラが窓から機内へ
しかしあるとき、機体のプロペラが激しい音とともに窓を突き破って機内に侵入し、一瞬にして反対側まで吹き飛んだ。
上空を飛行中ということもあり、乗員乗客は誰もがパニックに陥ったが、目的地はそう遠くなく、飛行機はすでに着陸態勢に入っていた。そこで機長をはじめコックピットのクルーは、そのままヴェネティア・マイン空港へ向かい、同機を無事着陸させた。
■負傷者はおらず
原因については、着陸後に南アフリカ民間航空局(SACAA)による大規模な調査が行われた。
すると、1羽の大きな鳥がプロペラにかなりの強さで当たり、破壊させていたことが判明した。プロペラは瞬時に機体の方向に吹き飛ばされ、窓を突き破って機内の奥まで進んだと考えられている。
重大な事故ではあったが、乗員乗客に負傷者はおらず、安全な着陸に成功した機長たちには称賛の声が相次いだ。
■半壊した飛行機
その後に公開された写真は、あまりにも衝撃的なものだった。プロペラの衝突により機内の壁や窓はめちゃくちゃに壊れ、破片が至る所に飛び散り、引き裂かれた座席からは、内部のクッションが飛び出している様子が伺える。
飛行機の寿命は一般的に20~25年と考えられていることもあり、SACAAは「このジェットストリーム41型機を今後も使用するべきか否かを含め、しばらくヴェネティア・マイン空港にて調査を行っていく」と発表している。
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(文/Sirabee 編集部・桜田 ルイ)