SAで遭遇した自販機に「意味深なボタン」を発見… その正体に称賛の声相次ぐ

とあるサービスエリアで発見された自販機。通常の自販機ではお目にかかれない「ボタン」に反響が寄せられているのだ。

2022/01/28 04:45

■開発の「きっかけ」が素晴らしすぎる

この「とろみ付き飲料」が選択できる自販機が展開され出したのは、2018年10月からのこと。現在では病院や介護・福祉施設を中心に、道の駅やSA・PAのほか、百貨店、ホテル、スーパー、市役所など、様々な公共施設にて設置されており、トータルで約200台にのぼるという。

自販機業界を含め、食品に関する業界では「環境と健康」が何よりも重要な柱となってくるが、この自販機は「究極の健康ドリンクとは何か」を突き詰めた際に誕生したものであると、開発担当者は語る。

恐らく「健康ドリンク」というフレーズを耳にした際、多くの人々はドラッグストアなどで手軽に買える「栄養ドリンク」の類を連想するのではないか。

とろみ付き自販機

しかしこうしたドリンクは「一定の健康」が既に保障されているユーザーを対象とした飲料であり、真に「健康を求めている人」へ向けたドリンクであると定義することに違和感を覚えるのも事実。

アペックスでは「生きている誰しもが高齢になる」「重要なのは寿命でなく、健康年齢である」という思いから、飲み込みが難しくなった人々へ向けた真の意味での「健康ドリンク」を提供すべく、この自販機の展開に着手したのである。

と、ここで記者に新たな疑問が浮かんでしまったのだ…。


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■なぜ「とろみ」があると親切なのか?

この自販機には、他社との共同開発で誕生したオリジナルのとろみ材を使用しているのだが、果たして飲み物に「とろみ」が付与されると、実際に飲み込みやすくなるのだろうか。

個人的にはとろみがついた方が「飲み込む」という動作に、より強い喉の動きが加わるイメージがあるのだが…。こちらの素人質問にも、アペックスは非常に丁寧に回答してくれたのである。

担当者はまず「嚥下における適切なとろみは人によって異なります」と前置きし、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)と呼ばれる症状について取り上げる。

我々は日常生活の中で特に意識することなく、口を使用して「呼吸」と「食事」を行なっているが、空気と飲食物では口に入ってからの経路が異なり、空気は口や鼻から体内に入り、その後は喉、気管を通って肺にまで達するのに対し、飲食物は口から体内に入り、食道を通過して胃に達するのだ。

こうした分別作業は喉にある「喉頭蓋」という弁が行なっており、対象物が喉を流れるスピードが早ければ早いほど「分別作業の余裕がなくなる」と考えるとイメージがしやすいだろうか。

老化や疾患などで飲み込む力が低下し「嚥下障害」が起こった人の中には、水や食べ物が通るスピードに喉頭蓋の働きがついていけず、誤って肺に送ってしまう「誤嚥」というケースも起こり得る。こうした誤嚥が「誤嚥性肺炎」へと繋がってしまうのである。

そのため「飲料にとろみを持たせる」ということは、水が喉を流れる速度を遅くさせ、嚥下障害を持つ人の体内が「嚥下の対象物」を判断するまでに、時間的猶予を持たせることになるのだ。


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■アペックスが本当に伝えたかったこと

今度の展開予定に関し、担当者は「特保飲料などではまず間違いなく使用されている難消化性デキストリン(水溶性食物繊維)のような効能を持つ『機能性素材』をどの飲料にも使用できるようにする、など健康と素材の観点から見た商品の開発を進めていければと思います」「誰しもが飲みたいものを、できるだけ末永く楽しんで健康を維持できるような未来を作っていきたいです」と、笑顔で語ってくれた。

また、この自販機を開発した背景について「現代では企業が率先して『社会をより良くしていくこと』が求められている」とも強調している。

実際、こちらの自販機がツイッター上で話題となったことで、多くのユーザーから「改めてとろみの重要性を知った」といった声が上がっているのだ。

アペックスの自販機は、嚥下障害に苦しむ人々に手を差し伸べるだけでなく、こうした問題を身近なものと考え、より良い社会にしていくためのヒントをもわれわれに与えてくれたと言えるだろう。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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