コロナ禍で注目の新ビジネス「並び屋」 一日に2万5千円稼ぐツワモノも
「忙しいのにこんな所で時間を無駄に」と人が感じるところに、時間と労力を提供するビジネスが大成功。
人は概して、長い列に並ぶこと、そして延々と順番を待つことが苦手だ。「行列を見ただけであきらめてしまう」という人も多い。さらに今は、人との距離が近いと新型コロナウイルスに感染する心配もある。
そこでイギリスでは、「並び屋」なる新しいビジネスが注目を集めているとのこと。『The Sun』がある男性の例を紹介し、話題をさらっている。
■報酬は時給制で
お金はあるが、長蛇の列に並ぶのは苦痛だし体力もない、しかも今は新型コロナウイルスが不安…。そんな人たちに目を付けたロンドンの男性が、最近になって「あなたの代わりに何時間でも長蛇の列に並んであげます」という新たなビジネスを始め、順調だという。
報酬は時給制。お金と引き換えに長蛇の列に並ぶことになるが、暇と体力があり、寒さも気にならない人にとっては、最高のアルバイトになるようだ。
■元はプロの便利屋
メディアの取材に「私はプロの便利屋で、最近は『並び屋』が絶好調です。1時間あたり報酬は20ポンド(日本円で約3,100円)で、1日あたり160ポンド(約2万5,000円)ほど稼いでいます」と語ったのは、ロンドンに暮らしているフレディ・ベッキットさん(31)。
彼は『タスクラビット(Taskrabitt)』という便利屋の検索サイトに登録しているが、「スキルを磨いてさまざまな仕事をしてきたけれど、こんなに楽な仕事は初めて。ロンドンっ子の特権だね」と話している。
■裕福そうな人に声をかける
「凍えるような寒さのなか、60代半ばの見るからに裕福そうな人たちがヴィクトリア・アンド・アルバート博物館で『クリスチャン・ディオール:夢のクチュリエ』展のために列を作っていたんです」と説明するフレディさん。
「代わりに並びましょうか」と申し出たところ、あっという間にビジネスが成立した。
実際に並ぶのは3時間ほどと予想されたが、彼らはほかにもフレディさんにお願いしたいことがあるとして、8時間もの契約が提案され、報酬もたっぷり支払われたという。
■四季を通じて需要あり
ロンドンでは観光、文化芸術、スポーツなど多くのイベントやショーが人気を取り戻し、入場券を求める人たちが長い列を作っている。
フレディさんに頻繁に依頼が舞い込むのは、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館と、ウエストエンドのアポロ劇場。観光客ばかりか幼い子供連れのファミリーからの依頼も多く、イベントが多数開催される夏以降にも大繁盛が予想されるそうだ。
人が「忙しいのにこんな所で時間を無駄にするなんて」と感じるところに、フレディさんは時間と体力を提供する。家族や友人も「着眼点がいいね」と褒めてくれるそうだ。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)