アメリカ初の「試験管ベビー」女性 40歳の誕生日を迎えて人生を告白
現在、世界に800万人以上いるとされる“体外受精で生まれた赤ちゃん”。そのパイオニアが40歳の誕生日を迎えた。
祝福と同時に大きな論争を巻き起こしながらこの世に生まれてくる赤ちゃんは、そう多くないだろう。
「試験管ベビー」として生まれた女性が、40歳の誕生日を目前にその人生について取材に答えた。『New York Post』など多くの海外メディアが報じている。
■アメリカ初の体外受精児
ロジャー・カーさんとその妻ジュディさん夫婦は、数度にわたる流産と子宮外妊娠で卵管摘出手術を受け絶望の淵に立たされていた。そんな夫婦に医師は、医学会で配られたチラシを見せ「まだうちではやったことはないけれど」と、体外受精を提案してきたという。
イギリスの初の成功例が認められたのは1978年。当時、アメリカで前例はなかった。
そして1981年12月28日、分娩室でテレビクルーがカメラを構え、病院の外では抗議活動が繰り広げられる中、アメリカで初めて体外受精によって生まれた赤ちゃんが今年40歳を迎えたエリザベスさんである。
■メディアの注目を浴びる人生
当時も、そして今でも、体外受精について心無い言葉をかけてくる人はいた。ピューリッツア賞受賞コラムニストですら、「全く同じ赤ちゃんを軍隊の数ほど作りあげるつもりだ」「神の領域に踏み込んだ」として大きな批判を繰り広げたという。
そんな中、匿名を貫くことで“普通の人生”を送ることも夫婦には選択できた。しかし、「体外受精で生まれた子は健康で普通の子供だった」と、不妊に苦しむ人々に伝えることが重要であると考え、世に出ることにしたのだという。
特に毎年誕生日にメディアの注目を浴びてきたというエリザベスさんは、遠方でモーニングショーに出演することもあり、穏やかに家で過ごすことは叶わなかったという。また、何をするにも人が自分を見ているという意識の中で人生を歩んできた。