過去最多の新型コロナ感染者数が出たイギリス ワクチン追加接種は妊婦も優先に
イギリスはここ数日で過去最多の感染者数を記録。いずれ日本でもオミクロン株は猛威をふるうだろう。
新型コロナウイルスのオミクロン株が、数日前から大変な猛威をふるっているイギリス。この国では、感染した場合の重症化が懸念される妊婦が、ぐんと早くワクチンの追加接種を受けられることになったようだ。『Metro』などが伝えている。
■猛威をふるうオミクロン株
アメリカでは、オハイオ州立大学で分子生物学を教えるサラ・コーコラン博士たちが、新型コロナウイルスのオミクロン株は肺ではなく気管支で増殖し、そのスピードはデルタ株の70倍速いと発表して波紋を広げている。
またイギリスでは15日に、1日の新規感染者が7万8,610人を記録。これは、過去のロックダウン決定時の感染者数よりも多い。専門家たちは「ほとんどが無症状で重症化もしない、といった楽観視は禁物」と指摘。実際に患者の死亡が報じられるようになってきた。
■妊婦も優先接種の対象に
そうした状況のなか、イギリスでは英国健康安全庁(略称:HSE)や種痘および予防接種に関する合同委員会(略称:JCVI)が、ワクチン接種3回目(ブースターショット)の対象として「妊婦を優先させる」と発表した。
これまでJCVIが示してきた優先順位のトップは「介護施設などの入居者、医療介護従事者、70歳以上の高齢者、重い基礎疾患を有する人々」。
それに「健康な65~69歳」が続き、次の「基礎疾患を有し重症化が予想される16歳~64歳」というグループに、今回妊婦が新たに加わる。前回の接種から3ヶ月が経過したら、早めの接種に備えてほしいという。
■妊娠すると免疫力が低下
女性は妊娠すると、母体の免疫細胞が胎児を「異物」とみなして攻撃しないよう、おのずと免疫力が低下する。そのため新型コロナウイルスに感染した場合は重症化しやすく、胎児に影響が及ぶ可能性がある。
イギリスでは今年5月16日から10月末までの間に、1,436人の妊婦が新型コロナウイルスのため入院し、うち230人は集中治療室へ。妊婦34人と母子感染があった新生児4人が死亡したが、ほとんどの妊婦がワクチン未接種だったという。
■日本政府の方針は?
最新情報によると、日本ではまず医療従事者、高齢者施設などに入所する基礎疾患を持つ高齢者たち約1,400万人を対象に、2回目の接種から原則6ヶ月以上が経過した場合に追加接種を行うことで、政府が調整に入っているという。
新型コロナウイルスは、人と会話し、外出する頻度が高いほど感染しやすくなる。妊婦は医療機関の待合室で長く過ごし、上の子供がいれば幼稚園、学校、小児科、歯科などにも頻繁に出入りする。
接種はあくまでも任意だが、イギリスにならい妊婦の順位を上げたほうが賢明ではないだろうか。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)