女の赤ちゃんを売り飛ばそうとした夫婦 人身売買斡旋業者とともに逮捕
人権を無視した赤ちゃんの人身売買は、違法性や倫理的な問題ばかりか命の危険も伴う。
南アジアでは、いまだ続く男児偏重主義。インドはその最たるものだと言われてきたが、このほど女の赤ちゃんを売り飛ばそうとした一家が警察に逮捕された。『Times Now News』『Times of India』が伝えている。
■すでに4人の娘が
生まれたばかりの女の子を他の家に売りつけようとして逮捕されたのは、マハーラーシュトラ州ターネ県ビワンディーのヴァキル・アンサリ(37)と妻のムンタズ(29)の両容疑者。
ヴァキルは同県で三輪タクシーの運転手をしながら生計を立てていたが、すでに4人の娘がおり、次は男の子をと期待していたなか、またしても女の子が誕生したという。
■おとり捜査が成功
この事件では、違法に人身売買の斡旋や仲介を行っていたとして摘発された業者内で、18歳から30歳までの4名も検挙された。
ターネ警察は、インターネットを通じて各種情報の収集に力を入れている。この度も怪しい広告を発見したため、娘が欲しいふりをするおとり捜査で、その業者に接近。すると、12月4日に誕生したばかりの女の赤ちゃんを紹介してきたという。
■破格の買取り額にも了承
ヴァキルとムンタズの夫婦は、大金が欲しいのではなく「子育てにこれ以上のお金をかけたくなかった」などと話している。さらに女の子の場合は、結婚時に持参金や家電・家財道具などを新郎側に贈る「ダウリー」の準備も大きな負担だ。
その子をどうしても手放したかった夫妻は、ターネ警察によると、なんと1.50ルピー(日本円で2.5円)という買取り額にも了承。赤ちゃんは、とんだ安値で業者に買い取られていたのだった。
■なくならない人身売買
インドでは、女の子は働き手が 1人でも多く欲しいという所に破格の値で、また男の子は子宝に恵まれない、あるいはなかなか男児が生まれない家庭に、高値で売り飛ばされることがあるという。
人権を無視した乳幼児の人身売買は、違法性や倫理的な問題ばかりか命の危険も伴うもので、この国の大きな問題となっている。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)