「死者のクローンを作って」の依頼 クローン羊ドリーを生み出した研究者らが困惑
遺伝子操作で大いに物議をかもしたクローン羊は、iPS細胞研究の発展に寄与していた。
世界を震撼させたクローン羊のドリーを生み出した研究者たちは、ドリーと同様の技術で「失った愛する人のクローンを作ってほしい」という人からの懇願に、悩まされたという。『Mirror』など海外メディアが報じている。
■大人の細胞によるクローン
1996年、イアン・ウィルムット教授率いるロスリン研究所のチームによって、遺伝性疾患の治療法を模索する研究の一環として「クローン羊のドリー」が生み出された。史上初、成長した羊の細胞から生まれた哺乳類の誕生だった。
この実験に対し動物愛護団体は、科学の発展のために動物の遺伝子操作をすることは、動物たちに大きな苦痛を与えるものとして、激しい抗議活動を展開。
また「ドリーはクローンなんかではない」とする批評家たちや、「神の領域」に踏み込んだとして、宗教家からも激しく非難された。
■ドリー誕生の過程
ドリーは、277のクローン実験の中で、唯一生き残ったクローン羊だ。フィン・ドーセット種の6歳の雌羊の乳腺細胞を、他の雌羊の核を除去した未受精卵と融合させた。このハイブリッド細胞に電気刺激で細胞分裂を促し、代理母の子宮に移したのである。
結果生まれたのが、細胞ドナーと同じ遺伝子を持つクローンの雌羊ドリーだった。