妊娠7ヶ月で脳卒中患い緊急帝王切開した女性 5年越しに娘を抱き「人生最高の瞬間」
脳卒中から、奇跡の生還を果たした女性。現在は、夫と2人の娘と幸せに暮らしている。
買い物中に突然脳卒中を起こし、意識を失った女性。そのとき妊娠7ヶ月だった。シンガポールの『AsiaOne』やフランスの『Opera News』などが、極めて珍しい体験をした女性の話題を伝えている。
■頭が爆発したかのような痛み
シンガポールに住み、金融サービス・コンサルタントとして働いていたジョイ・チアさん(34)は2019年8月、家族とショッピングモールで買い物中に、突然意識を失った。
ジョイさんは当時のことを、「突然、頭が爆発するような痛みが襲ってきて、その後のことは覚えていません。気付いたら病院のベッドの上でした」と振り返っている。
そのときジョイさんは脳卒中を起こしていたが、お腹の中には赤ちゃんがおり、妊娠7ヶ月だったそうだ。
■緊急帝王切開手術に
脳卒中は、脳内の血管が詰まったり破れることで、出血したりする病気だ。身体の麻痺や言語障害、意識障害などの後遺症が残ることが多く、命に関わることも少なくない。
ジョイさんはただちに病院に搬送され、医師が頭蓋骨を開き、脳にダメージを与える「圧」を取り除く手術を行った。胎児にも危機が迫っており、医師たちはその命を救うため、緊急帝王切開手術をすることを決断した。
■退院時に娘はすでに5歳
帝王切開手術は無事に成功。元気な女の子が誕生したものの、ジョイさんは1ヶ月も集中治療室で過ごし、脳卒中の治療が続けられた。
その後、順調に回復して退院となったが、娘はすでに5歳になっていた。ジョイさんはメディアの取材に、「産まれたばかりのわが子を抱くことも、顔を見ることすらできず、うつ病になりそうでした。やっと抱っこできた時は、私の人生で最高の瞬間でした」と語っている。
■患者数は10年前より50%増加
4日、シンガポール国立脳卒中協会(SNSA)が発表したデータによると、2019年に脳卒中を発症した患者の数は、2010年と比較して50%も増加しているという。
人口の急速な高齢化に伴って、今後もその数は増える可能性があり、「55歳を過ぎると、脳卒中のリスクは10年ごとに2倍になると考えられる」としている。
専門家は、予防のため適度な運動と健康的な食事の重要性を強調。脳卒中を疑うような症状が現れた時には、ただちに病院へ行くよう注意喚起した。
■現在はボランティア活動
ジョイさんはまだ指先に後遺症があるが、SNSAでボランティア活動に励んでいる。
自身の経験を踏まえ、「入院している当時、自分もこの若さで脳卒中を患ってしまったなんて、信じられませんでした。多くの患者が自殺してしまうのも、実はその期間なのです」と明かした。
死の淵から生還した経験者たちと思いを共有しながら、患者たちを励まし、勇気づけることに余念がないジョイさん。今は1人でも多くの患者を、精神的に助けていきたいと感じているそうだ。
・合わせて読みたい→毒ヘビに噛まれて妊婦が死亡 お腹の子は緊急帝王切開で緊急誕生へ
(文/Sirabee 編集部・桜田 ルイ)