ルイ・ヴィトン初の黒人デザイナー 希少ガンを患い41歳で死去
「先見の明があり、豊かな創造力と知恵、そして美しい魂を持った天才デザイナーでした」とLVMHの最高責任者。
紐におしゃれなタグを付ける斬新なアイデアで、世界のスニーカーファンから絶賛されてきたファッションブランド『オフ・ホワイト(OFF-WHITE)』。その爆発的ヒットを放った超有名デザイナーが、希少なガンに侵されてこの世を去った。
『NYポスト/Page Six』などが伝え、彼をリスペクトしてきた業界の多くの人々が悲しみに包まれている。
■黒人初のLVディレクターに
ルイ・ヴィトン・メンズのデザイナーとして、2018年に黒人では初めてクリエイティブ・ディレクターに上りつめたヴァージル・アブローさん。彼が11月28日に天に召されたという。
まだ41歳、『OFF-WHITE c/o Virgil Abloh』の大ヒットもさることながら、世界のカルチャーにも大きな影響を与え、これからの活躍がますます期待されるなかでの無念の死だった。
■著名人にも多くのファン
メンズに力を入れていたアブローさんだが、人気モデルでタレントのジジ・ハディッドも彼の作品の大ファンのひとりだ。
またジャスティン・ビーバーの妻であるヘイリー・ビーバー(ヘイリー・ボールドウィン)が挙式に着たウェディングドレスは、アブローさんのデザイン。
彼女は雑誌インタビューで、アブローさんについて「ストリートスタイルとファッションの認識を彼は完全に変えてしまった」と語っていた。
以前、一緒に仕事をしたことがあるという人気ミュージシャンのファレル・ウィリアムスも、Twitterで「彼は天才なのに本当に親切で寛大で、ヒューマニズムや思いやりにあふれた人でした」とその早すぎる死を悼んでいる。
■心臓原発血管肉腫との闘い
伝えられたところによれば、アブローさんは2019年に「心臓原発血管肉腫」という、予後も不良で転移しやすく、治療法も確立されていない極めて稀な種類のガンと診断されていた。
全ての肉腫のうちわずか2%を占め、皮膚、肝臓、乳腺、骨などに発生する稀な悪性腫瘍の「血管肉腫」は、10%ほどが心臓で発生しているとのこと。
初発症状は胸部不快感、胸痛、背部痛、息切れや呼吸困難などで、男女比 は3:1と男性に多く、患者の年齢は20代から60代まで幅広いという。
■悲しみに暮れる業界
アブローさんの死に、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)社のベルナール・アルノー最高経営責任者(CEO)も強いショックを受けているようだ。
Twitterで「先見の明があり、豊かな創造力と知恵、そして美しい魂を持った天才デザイナーでした」「LVMHファミリーの誰もが今、強い喪失感と悲しみに打ちひしがれています」とつづり、遺族たちに哀悼の意を捧げている。
また、デザイナー仲間のドナテラ・ヴェルサーチは、Instagramで「ファッション界のスーパースターを亡くしてしまいました」とつづった。その訃報の広がりを「歴史に残る悲劇的な1日だと表現している。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)