気象庁、ラニーニャ現象を発表 西日本でも雪が多くなる可能性を気象予報士が解説
気象庁は「ラニーニャ現象」発生について発表。日本の冬への影響は…。
気象庁はきょう10日、この秋からラニーニャ現象が発生しているとみられると発表しました。ラニーニャ現象が発生すると、冬の気温は「平年並みか低くなる」可能性が高いと言われており、日本海側で立ち往生をもたらすような大雪となる可能性があります。
気象予報士の千種ゆり子が解説します。
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■ラニーニャ現象とは
ラニーニャ現象とは、南米ペルー沖の海面水温が平年よりも低くなる現象のことです。
この付近は海の下のほうから冷たい水が湧き上がってきていますが、上空では貿易風と呼ばれる東風が吹いています。何らかの原因で東風が強まると、暖かい海水が西に流れていき、海の下のほうからは冷たい水が湧き上がってきます。
一方、暖かい海水が溜まったインドネシア付近では、水蒸気が生まれやすくなり、積乱雲が発達しやすくなります。積乱雲のできやすい場所が変わることで、地球規模で大気の流れが変わり、遠く離れた日本の天気にも影響が出てくるのです。
先日ノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎先生の開発した「大気海洋結合モデル」は、まさにこのような“海と大気の相互作用”を考慮していて、冬の天候予想などに使われています。
■ラニーニャ現象発生時の日本の天候は
ラニーニャ現象が発生すると、東日本から西日本で気温が平年並みか低くなる傾向にあります。特に今冬は「西回りの寒気」が予想されています。北から寒気が下りてくるのではなく、西から寒気が流れ込むパターンが多くなりそうだということです。
実際に先月発表された3ヶ月予報でも、来年1月にかけて西日本を中心に平年よりも気温が低い可能性があると発表されました。
■実際すでに西回りの寒気が…
西日本では、西回りの寒気が流れ込んで、今週は九州や四国などで12月並みの寒さとなっています。また、冬に特徴的な筋状の雲も西日本に広がっていて、広く曇りや雨の天気をもたらしています。
季節が2ヶ月先なら雪となって、平地でも積雪しているでしょう。西日本でも、この冬は雪への備えを万全にしたほうが良さそうです。
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(取材・文/気象予報士・千種ゆり子)