二酸化炭素が2年で石に変わる? アイスランドで進むプロジェクトがスゴい
自然環境では数百年かかる工程を、2年で完了? 画期的な方法が生まれていた。
空気中の二酸化炭素だけを取り出してどこかに封じ込めることができたら、地球温暖化を食い止めることはできるだろうか。
『Tech Xplore』『The Washington Newsday』などの海外メディアによると、アイスランドの火山のふもとでは日夜、二酸化炭素を「石」に変える作業が行われているという。
■空気から二酸化炭素を除去
アイスランドとスイスの企業が提携して生まれた新興企業『Climeworks(クライムワークス)』は、アイスランド語でエネルギーを意味する「Orca(オルカ)」という名の巨大なプラント施設を、アイスランドの火山の麓に建設した。
このプラントでは、地球温暖化の原因とも言われる温室効果ガスの6割以上を占める二酸化炭素を、空気中から恒久的に除去する作業が行われている。
■数百年かかることが2年に
「Carbfix」と呼ばれるこの方法は、空気中から回収した二酸化炭素を一度水に溶かし、パイプで約3,000メートルの地下に送り込む。すると二酸化炭素は、玄武岩の層に含まれるカルシウムやマグネシウム、鉄などと反応し、石灰化した白い結晶へと変化する。
こうしたプロセスは自然環境下でも発生するが、通常であれば数百年かかる二酸化炭素の凝固が、この方法では2年ほどで完了するという。
■地下深くに封印
この方法で作られた二酸化炭素の岩石は、直接溶岩にさらされるなど非常に高温に加熱されない限りは、大気中に再放出されることはないという。
プラントは地熱発電も兼ねているために火山エリアに建設されているが、火山活動のレベルは低いと考えられており、この火山で最後に噴火があったのは約1,900年前とのことだ。
■コストが高いのが難点?
排出量を削減するのではなく、すでに排出された二酸化炭素を回収するこの方法は、一見万能のようにも思える。しかしOrcaが1年間に回収できる二酸化炭素の量は約4,000トンで、世界が掲げる数十億トンという排出量削減の目標にはほど遠い。
さらに現状では、1基を製造するのに10億円以上がかかるため、回収のためのコストも高くついてしまう。「その分、木を植えたほうが遥かに安上がりですむ」という批判の声も上がっている。
かなり革新的な方法で、空気中から二酸化炭素そのものを減らしていくOrcaだが、今後は量産化やコスト問題の解決などが、課題になりそうだ。
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(文/Sirabee 編集部・びやじま)