手術後の娘への付き添いを断られ… 病室に居座り続けた母親が逮捕へ
「娘には私の付き添いが必要」と頑なに主張した女性。病院は困り果てて警察を呼んだ。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、多くの病院で今、患者の家族の面会や付き添いを禁じたり、制限をもうけたりしている。アメリカ・フロリダ州の病院では、それが原因で患者の母親が逮捕されてしまった。
地元メディアの『First Coast News』『WKRC-TV』などが報じている。
■「付き添いは不可能」と病院
このほどフロリダ大学付属ヘルスノース病院で、ジャクソンビル在住のリン・サヴェージという70歳の女が、不法侵入行為があったとして駆け付けた警察官に逮捕された。
同病院には、4日からリンの娘アンバー・リン・ミラーさん(45)が入院しており、脳外科手術が行われた後だった。面会時間は朝9時から夜7時までであり、コロナ禍で付き添いは不可能と告げられていたという。
■娘は脳卒中で不自由な体に
アンバーさんは4人の子を育てるかたわら、15年にわたりジャクソンビルの法律事務所に勤務していた。だが2015年に脳卒中に見舞われ半身に麻痺が起き、会話が不自由に。このたびの入院は、再びの開頭手術が必要となったためだった。
そして手術後のアンバーさんの頭部MRI検査の結果は、決して良いものではなかった。
リンは逮捕された日、朝の6時半から病室におり、夜の7時が過ぎても退室せず、午後10時ごろにスタッフが注意しても「心配で娘のそばを離れたくない」と言い張ったという。
■尊敬されていた女
頑固なリンにひどく困惑し、眉をひそめて警察を呼んだ病院側だが、彼女の定年退職前の職業を聞いて誰もが驚いた。
彼女はオハイオ州の出身で、長年にわたり同スターク郡の副保安官だった。保安官や副保安官は、優秀かつ多くの人の信頼や尊敬を集めている人物しか就くことができない職だ。
このたびの件で、リンをよく知る人々は「常に冷静で人物も温厚。彼女が病院の規則を守らないなんて信じられない」と語っている。
■「娘には通訳が必要です」
不法侵入罪に問われているリンは、20日に予備審問のため裁判所に出廷する。しかし、メディアの取材には「自分のしたことは間違っていなかったと思います」と話すなど、まったく態度を崩していない。
会話ができないアンバーさんは、何か苦痛が生じると体の周りのチューブやワイヤーを引っ張って知らせるといい、「私は誰もそこにいない状態が不安なのです。娘には私の通訳が必要です」と涙ながらに訴えている。
アンバーさんはその後、退院して自宅に戻っているが、月末にはまたMRI検査を受ける予定だ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)