安価の電子タバコ愛用で15歳少女が一時重体 「人体への長期的影響は未知」と専門機関
電子タバコはタバコ臭もないうえ、最近はビタミンCやヒアルロン酸が含まれている製品まである。
安価で買える水蒸気タイプの電子タバコ(Vape)を常用していた、オーストリアの15歳の少女が集中治療室に運ばれ、重い肺疾患が判明して治療を受けている。イギリスの『The Daily Star』や『Daily Mail』が報じた。
■低酸素症で緊急入院
オーストラリアのシドニーに住むダコタ・ステフェンソンさん(15)。ある日、高熱や息苦しさ、背中の痛みを訴えて地元のクリニックを受診した。
医師による診察の結果、肺に十分な酸素が送られないことで起きる低酸素症と診断され、ランドウィックにあるシドニー小児病院の集中治療室へと運ばれた。画像ではダコタさんの胸に水が充満しており、一時は重体とまで診断された。
■電子タバコを常用
ダコタさんには3日間にわたり、気管支鏡で肺の一部を洗う区域洗浄法という治療、そしてドレーン(管)を胸壁から挿入し、胸にたまった250ミリリットルもの水分を抜きとる治療が行われた。
ダコタさんは自身に起きた体調の変化について、医師には「学校の友人たちと好奇心から水蒸気を吸うタイプの電子タバコを常用するようになった。7ヶ月くらいで背中の痛みや息苦しさが始まった」と話したそうだ。
■タバコ代は嘘をつき母親から
母親のナターシャさんによると、ダコタさんはたびたび「学校帰りに友達とマックに行くから5ドルちょうだい」と要求することがあった。それが全て電子タバコのフレーバーカートリッジに消えていたとは、まったく気付かなかったという。
フレーバーカートリッジには女性受けするようブドウやイチゴ、スイカなどさまざまな味があり、タールやニコチンを含まない製品は「子供向け」としても販売されている。
■原因は調査研究中
担当した医師はダコタさんを「EVALI(E-cigarette, or Vaping, product use Associated Lung Injuryのイニシャルより)」と診断。この病名は、加熱式タバコまたは水蒸気タイプのタバコを吸うことで起きる肺の損傷を意味するもので、2019年に特定された。
患者の気管支肺胞洗浄液を分析すると、健康な人には見つからないビタミンEアセテートが検出されるという。
約10年前に市場に登場した電子タバコだが、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、「人体における長期的な影響はまだ解明されておらず、安全性も確認されていない」として注意を呼び掛けている。
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(文/しらべぇ編集部・桜田 ルイ)