9割がキリスト教徒のブラジルに西洋最大の大仏 現地で歓迎された背景を直撃
今年8月、ブラジルに西洋最大規模の仏像お目見え。禅宗の曹洞宗が建立した。
■「鬼の宗教」の誤解を経て
統計ではブラジル人の88%がクリスチャン。仏教は「鬼の宗教」と忌み嫌われた苦い過去があったという。
アルベルト副住職:開山した1974年当時、子連れの母親が、袈裟姿の僧侶に出くわした際、「お前、勉強しなかったら、あの(僧侶)ようになる。僧侶とは、子供の肉を鍋に入れて食べる鬼だ」とわが子に言い聞かせた話を、住職から聞きました。
差別と違和感が強かった。当時は荒れ放題の山。でも長年かけて開墾して植林し、緑あふれる景観に育て上げた。こうした環境保全・教育への取り組みが、国連のユネスコを含めて広く理解されるようになったと思います。
■お遍路を参考に巡礼企画も
現地のキリスト教と交流するプロジェクトも30年以上前から始めている。
アルベルト副住職:また1985年頃から、子供たちを対象に、寺を出発点にして市内23ヶ所のキリスト教会を宿泊して108kmを5日間かけて歩いて回る「巡礼の道」(caminhos de sabedoria)を企画し、宗教の垣根を超えた交流を進めています。
住職が日本の四国で修業中「88ヶ所」を巡礼した経験から、始めた企画です。他に寺の講堂では低収入の人のために、陶芸教室を開講し、培った技術で完成した作品を販売し、受講者の収入にする事業も行っています。
月曜から金曜まで小中高生を招き環境問題や日本文化、仏教の歴史を学ぶ教育プログラムを組んでいます。大半がクリスチャンの家系の子供たちです。