『キングオブコント2021』が最高だった理由 バラけた審査と空気階段の勝因とは
新審査員とバラけた審査得点。そこで空気階段が満場一致の優勝を果たした意味とは。
■歴代最高得点
空気階段の1本目のコントは、松本も97点をつけ、歴代の最高得点486点を獲得する。SMクラブが火事になり、客2人が恥ずかしい格好で協力しながら逃げるコント。
逃げながら階を移るという場面転換と空間的立体感、臨場感を持つコントで、さらに2人はじつは、消防士と警察官で、設定のリアルな滑稽さと、見た目のわかりやすい滑稽さの中に、感動的な物語も入れ込む。あらゆる部分に面白さの深みを持つ作品。
■完全なる優勝
そして、2本目の作品も高い評価を獲得し、完全なる優勝となった。2本目の作品は、『メガトンパンチマンカフェ』という、鈴木もぐらが演じる店主が描いた漫画のテーマ設定を持つカフェのコント。
詳細な架空の設定が面白く、さらに物語は展開し、終盤では、店主がじつは敵役であり、小さなロボットの『メガトンパンチマン』が現れるという、非常に具体的でリアリティのある架空設定とともに観客の予想を裏切る笑いなのだ。
■コント復興の希望
バラけた審査の中、コントの凝った笑いでの突き抜けた満場一致が渇望された状況で、空気階段は見事に期待に応えた。
また、2本目のコントでは、水川かたまりの力の抜けたツッコミもよく、コントならではのバリエーションのある笑いを生み出していたのだ。
伝統的なコントの文化も、『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)以来、漫才に遅れをとる時代が続いている。『KOC』が『M-1』に負けない大会になる希望が、空気階段のおかげで、今回、芽生えてきたのかもしれない。
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(文/メディア評論家・宮室 信洋)