太陽光をほぼ完全に反射する「超白色塗料」が誕生 省エネ効果に大きな期待集まる
開発にあたっては、ワシントンD.C.の国防大学・空軍科学研究部門の協力を仰いだという。
同じ建物の場合、黒い屋根より白い屋根の家のほうが室内温度を低く保てるといわれている。猛暑日が続く昨今、太陽光の吸収とそれに伴う室温の上昇は大きな問題であり、それを救うのはやはり「白い塗料」だという。
海外でまた新たな塗料が誕生し、高い関心を集めていることがわかった。
■ 「世界で最も白い塗料」完成
アメリカ・インディアナ州のウェストラファイエットにある州立パデュー大学(Purdue University)。この大学で教鞭をとる機械工学が専門のシュウリン・ルアン(Xiulin Ruan)教授と大学院生による研究チームが、少し前に「世界で最も白い塗料」なるものを完成させていた。
それは、16日から販売となった『ギネス世界記録2022/GUINNESS WORLD RECORDS 2022』にも掲載され、地球環境保護にも役立つことから高い関心を集めている。
■ 「ギネスを狙ったわけではない」
完成までに要した年数はなんと7年。しかし「この塗料を生み出したのは、ギネスブックを狙ってのことではありません」とルアン教授は説明する。
地球温暖化で世界の各都市が猛暑に苦しむようになり、それに伴いエアコンによる電気消費量も大幅にアップした。その塗料を屋根や外壁に塗ることで、少しでも省エネの役に立ちたいと願ってのことだったそうだ。
■ほぼ完全な太陽光反射を
ただの白ではなく、そこには1970年代から多くの化学者が節電を目標に取り組んできた、「太陽光をほぼ完全に反射する白」へのこだわりがあった。
市販の白いペンキの太陽光の反射率は80~90%。照り付ける太陽光により、屋根や壁の表面温度はもちろん、室温も上昇する。そんな中、教授たちは反射率98.1%の塗料を完成させた。
実験でも、その壁は一般的な白い塗料を塗った壁より周辺温度がぐんと低くなることが判明。10kW(キロワット)分のクーラー消費を抑えるためには、屋根の約93平方メートルにその塗料を塗ればいいそうだ。
■米空軍の科学技術も
「超白色」と教授が表現するその塗料は、非常に高濃度の硫酸バリウムが用いられているが、太陽光のそれぞれ異なる波長に対応できるよう粒子のサイズに大きな幅を設け、それにより高い反射率を実現させている。
開発には、ワシントンD.C.の国防大学(ナショナル・ディフェンス大学)の空軍科学研究部門の協力を仰いだといい、配合の詳細部分に関しては特許の出願も完了。企業との提携もいよいよ始まり、その商品化に大きな待が集まっている模様だ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)