家族旅行で船が大破 子供2人を生かすため母乳を与え続けた母親が死亡
自らの命と引き換えに、子供を救った勇敢な母親。最大の愛情を引き継いだ子供たちには、強く育ってほしい。
楽しい家族旅行になるはずが、一家を大惨事が襲ってしまった。命がけでわが子を守り続けた勇敢な母親の行動を、アメリカの『Newsweek』や『NEW YORK POST』ほか海外メディアが報じ、人々の称賛と涙を誘っている。
■家族で船の旅へ
3日、ベネズエラに住むマリーリー・チャコンさん(40)は、夫のレミス・クランバーさん、息子のホセ・デイヴィッドくん(6)、そして娘のマリア・ベアトリス・カンブラー・チャコンちゃん(2)とともに、船での家族旅行に出発した。
船はビーチがひときわ美しい人気リゾート地のトルトゥーガ島に向け、ミランダ州にあるイゲローテという街から出港。乳母のヴェロニカ・マルチネスさんと一家の友人、乗員たち複数人が乗船していたという。
■船は荒波の中へ
だが出港から数時間たった夜、海は大しけとなり、船は大きく揺れて大破。乗っていた全員が海へと投げ出される惨事に見舞われてしまった。
マリーリーさんは荒れ狂う波の中でも、必死にホセくんとマリアちゃんの体をつかんだ。そこに空のクーラーボックスが流れてきたため、子供たちをそれにつかまらせ、乳母のヴェロニカさんとともに、今か今かと救助を待ち続けたという。
■子供たちを助けようと
しかしいくら待っても海難救難隊は現れず、子供たちの脱水症状を心配したマリーリーさんは、自身の尿を飲み水分を確保。そして数時間おきに母乳を出し、ホセくんとマリアちゃんに与え続けた。
マリーリーさんの機転を利かせた命がけの行動によって、ホセくんとマリアちゃんは無事に救出されたものの、マリーリーさんは死亡が確認された。なんと船の大破から4日が経過した7日のことだったという。
■自身は脱水症状で…
その後、マリーリーさんの死因は、母乳を与えたことによる脱水症状であることが判明。死亡推定時刻は、救助隊が駆け付ける3時間ほど前と推測されている。なお、レミスさんほか友人や乗員はいまだ行方不明となっており、捜索活動が行われている。
一家を乗せた船が、生存確率を左右するGPS機能付きのラジオや電子機器、発煙筒を乗せていなかった可能性もあり、当局が運航業者に対する調査を進めている。
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(文/しらべぇ編集部・桜田 ルイ)