体重80kgの猛犬に顔や太ももを食いちぎられ… 繁殖禁止の法整備を求める動きも
犬との暮らしを楽しむためにも、近隣住民に愛される犬種を選ぶことも大切ではないだろうか。
「闘犬こそ犬としての価値がある」と信じてやまない人々がおり、そうした種類の犬の繁殖を専門とするブリーダーもいる。そんな中、オーストラリアで巨大な闘犬が飼い主の女性たちを攻撃し、顔や太ももなどを食いちぎるなどした。
あまりにも危険な犬種の繁殖を、法で禁じるよう求める動きが始まったことを現地の『Daily Mail Australia』が伝え、他海外のメディアも報じている。
■世界で話題の超大型犬
アメリカで今から5年ほど前、ハルクという名のミニチュアホースほどある巨大なアメリカン・ピット・ブル・テリアが、大きな注目を浴びた。ブルドッグ、マスティフ、テリアを掛け合わせたそうだが、門外不出の工夫が他にもあると話題になっていた。
シドニーにも近いニューサウスウェールズ州のフェザンツ・ネストという村にも、ブリーダーの手で80kg以上の巨体化に成功していたアメリカン・スタッフォードシャー・テリアがいたが、その犬が10日、自宅の庭で54歳の飼い主の女性とその娘(20)に大けがを負わせた。
■隣人が鉄の棒とナイフで…
女性たちの悲鳴を聞きつけた隣人男性2名が、助けに現れた。鉄の棒で強く殴り、ナイフで喉を切りつけるなどして犬を沈静化させてから、救急車を要請している。
女性2人はヘリコプターおよび救急車でリバプールにある大きな病院に運ばれ、緊急手術を受けたが、母親は顔と首にひどいダメージを受けており、娘の太ももは食いちぎられ骨があらわになっているという。
■生後5週の赤ちゃんも死亡
隣人のローゼル・ジュミンスキーさんは『Daily Mail Australia』の取材に、「顔面や首に深い傷を負った飼い主と、鉄の棒で激しく殴られた犬。誰にとっても悲劇でしかない。お隣は、そんな犬をそもそも飼うべきではなかった」と話している。
7月にもシドニーの北に位置するセントラルコーストで、生後5週の赤ちゃんが飼い犬のピットブルに襲われて死亡する事故が起きていた。飼い主には従順なピットブルだったが、いったん攻撃のスイッチが入ると制御不能だったという。
■立ち上がった1人の獣医師
セントラルコーストの事故、このたびの事故を受け、シドニーで3つの動物病院を営むサム・コヴァック医師(32)は、攻撃性の強い犬をリストアップ。その繁殖、販売、輸入、および特殊な掛け合わせで犬を巨体化させる試みなどを法で禁じるよう、各方面に働きかけることを始めた。
「猛犬の問題は、飼い犬が正しく彼らをしつけ、訓練する方法を知らないことにある。すると、猛犬としての悪い部分ばかりがどんどん増長されていき、やがて飼い主ですら手に負えないときがくる」とコヴァック医師は説明する。
■「闘犬など危険なだけ」の声も
この話題を報じたイギリスの『Mail Online』には、400近いコメントが。「社会に闘犬など不要。危険なだけ」「そういう犬を飼って、自分まで偉くなったようなふるまいをする飼い主がいる」「ブリーダーばかりか、注文・購入した者にも罰則を」といった声が相次いでいる。
犬との暮らしを楽しむためにも、散歩コースの住民にも愛される犬種を選ぶことは大切。飼い犬が飼い主を殺そうとするなど、あってはならないことなのだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)