母親の死を届けず年金の不正受給を続けた息子 消臭用猫砂の中に遺体を隠し…
事情聴取に対し、息子は「そのお金が頼りだった。受給の権利を返上したくなかった」と話したという。
オーストラリアでこのほど、ミイラ化した母親の遺体を自宅に隠していた60代の息子が逮捕された。母親が生きている限り受け取れる年金と介護手当。それを失いたくなかったと息子は供述しているという。『7News』『SKY NEWS』ほか海外の多数のメディアが伝えた。
■母親が89歳で死亡
事件はオーストリア・チロル地方のインスブルック・ラントという町で起きた。ある女性が2020年6月に89歳で死亡したが、息子(66)はその遺体を自宅に隠し、大量の保冷剤で凍らせ、体液を吸収する包帯で包むなどしていた。
その兄は「自宅を訪れたとき、母は病院に入院したと説明された」と話している。
■郵便配達員が警察に相談
この事件は今月上旬、ある郵便物を届けようとした配達員が、息子に「受取人に直接渡すものなので、お母様に会ってから」と話したところ、途端に追い払われ、不審に思って警察に相談したことで発覚した。
捜索差押許可状とともに自宅を訪れた警察は、地下室で猫のトイレ用消臭砂をかぶせられたミイラ化遺体を発見。先週には剖検が行われ、遺体は自然死した女性のものと断定された。
■詐欺や死体損壊・遺棄の罪は重い
警察は、母親の死亡を役所などに届け出ず、年金や介護手当として、少なくとも日本円で650万円ほどのお金を不正に受給し続けていた息子を、詐欺、死体損壊および遺棄などの罪で逮捕した。
事情聴取に対しては、「そのお金を頼りに生活していたため、権利を返上したくなかった」「母親の死をみとったのはルーマニア国籍の看護師。その後は帰国した」などと話しているという。
■専門のセンターにまずは相談を
子供が高齢の親の年金収入を頼りに暮らしている、そんな家庭は世界的にも急増。日本では親が80代、子が50代であることが多く、その現象は「8050問題」とも呼ばれている。
「自治体の『ひきこもり地域支援センター』に相談を」と呼び掛ける厚生労働省だが、心身の病気や親の介護、リストラによる失業、親族や近隣住民からの孤立など、原因はじつにさまざまだという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)