生配信も仕切る岸田陣営の懐刀・村井英樹衆院議員 「首相の発信力に必要なのは『回答力』」

自民党総裁選に最初に名乗りを上げた岸田文雄・前政調会長。その生配信を仕切った懐刀・村井英樹衆院議員に直撃。

■首相に求められる発信力は「回答力」

岸田文雄

一方で、誠実な印象はあるものの「発信力が弱い」とも評される岸田氏。コロナ対策に国民の理解と協力を求めるために説明能力が必要だとすると、この点も大きな資質になりそうだが、村井議員に聞いてみたところ…。

「岸田さんには、河野太郎大臣のような『異端児としての目立ち度』やSNSを使いこなした経験はありません。しかし、記者会見を聞いていただけると、他のどの候補よりも丁寧に説明している。立候補表明の記者会見は2時間以上でした。総理大臣になってからの発信力は、丁寧な説明ができるかどうかに尽きる。一議員としての発信力と全く違うと思います」

たしかに、ツイッターを軽妙に使いこなすよりも、質問をはぐらかさずに丁寧に答え続けるほうが納得感は高まる。いわば、「回答力」とでもいうものだろうか。村井氏は、「岸田さんは誠実な人なので、どんな質問にも真面目に受けちゃう」と笑う。

総裁選候補者の記者会見やメディア出演が続いているが、彼らが言いたいことを話している時だけでなく、「質問に対してどれだけ真摯に回答しているか」という視点で見直してみると面白いかもしれない。


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■岸田氏の雰囲気が前回と違う?

政策通の議員が多いが喧嘩に弱い「公家集団」とも評される宏池会。しかし、今回立候補した岸田氏は、「新自由主義からの転換」「自民党役員任期案」など、かなり攻めた提言を行い、上手な喧嘩をしているようにも見える。なぜなのだろうか。

村井議員は、「岸田さんの覚悟ではないか」と分析する。

「前回総裁選でかなり菅首相に離され、『岸田は終わった』とまで言われた。重要な役職にもつかず、1年間つらい立場にあったと思う。しかし、今年に入って『このままではいけない』と思ったのではないか。退路を断ったという感じが近くにいるとわかる」という。

安倍政権では外相や政調会長として安倍首相を支え、一時は安倍氏による禅譲も囁かれていた岸田氏。村井氏は、「前回は『次は岸田じゃないか』『総理候補ナンバーワン』などと言われて、本人もいろんなところに気を遣っていたのではないか」と見る。

「辛い経験をして、一人になって、政治家として何をすべきで何がしたいのか考え抜いた結果、『自分が本当に正しいと考えたことを言う』というシンプルなところに立ち返っているようだ」村井氏は、「近くにいて、今回は強さと怖さを感じる」と評した。

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