在宅勤務中も禁煙を求める企業相次ぐ… 素朴な疑問点に弁護士が回答
在宅勤務中も従業員に禁煙を求める企業が相次いでいます。素朴な疑問点について、弁護士が回答。
証券最大手の「野村ホールディングス」は、来月からグループのすべての社員に対し、就業時間中は禁煙を求める方針を新たに決めました。本記事では、素朴な疑問点などについて弁護士が解説します。
■在宅勤務中に禁煙を求めることに問題点は
在宅勤務中に禁煙を求めることについて、法的な問題点はあるのでしょうか。齋藤健博弁護士は以下のように話します。
齋藤弁護士:違法か適法かと問われると、会社の内部ルールなので違法とまでは明確に言い難いのが現実です。喫煙者は非喫煙者と比較して、休憩時間が長いと考えると公平の観点からの措置とも思われますし、副流煙等の防止の観点と説明される可能性もあるでしょう。
とはいえ在宅勤務中なので、ある意味で従前より自由な時間の使い方ができる状況にあります。そんな観点から一定の制約をかけるものとも思われますが、『禁煙するものと努める』と記載されるのか、『禁煙にする』と定め法的義務に昇華させることは難しいと理解されてきたところを、決断して押し上げた措置ではないでしょうか。
■罰則が設けられた場合は?
現段階で禁煙制限の詳細は明らかになっていませんが、仮に罰則などが設けられた際は違法になるんでしょうか。
齋藤弁護士:過度な制限であると主張することは十分あり得るのではないでしょうか。喫煙の自由は個人の問題であると主張することはできるでしょうが、例えばこれを国が制限をする法律を明確に定めてきた場合、憲法問題にもなりかねません。
企業統治に服する社員に対する制限としては、罰則、たとえば給料から相殺などの措置にすることは行き過ぎであると主張するのは十分あり得るのではないでしょうか。
■中には治療が必要な人もいるが…
ニコチン依存者などは、ある種治療が必要な病気であるとも言えるのですが、このような方々が企業に対して反論を行う際は、どのような対応をすることが望ましいのでしょうか。
齋藤弁護士:個人の判断で喫煙をしていることを指摘し、これは個人が何を食べる、何を着るなどを判断するのと同等の重要性があると主張する必要がありましょう。
また、実際に就業中タスクが不履行になっていないなど、実害が生じていないことも指摘できましょうし、軽い飲食などが許容されているのと平仄があわないなどと主張するのも一つだと思います。
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(企画・文/弁護士・齋藤 健博)