「イベルメクチン」個人入手に家畜用が混じる 米・食品医薬品局が緊急警告
輸入代行業者から購入した医薬品では、副作用に「医薬品副作用被害救済制度」は適用されない。
多くの国で今、「腸管糞線虫症、疥癬(かいせん)の治療薬であるイベルメクチンは、新型コロナウイルスの特効薬か」と話題になっている。同時に、個人で入手したいと望む人々のための輸入代行ビジネスも、盛んに行われているようだ。
だがアメリカの食品医薬品局(FDA)が、その流れに待ったをかけた。『INSIDER』や『NBC News』など海外メディアが報じている。
■有効性は未確認
北里大学の大村智博士により発見された、寄生虫駆除薬のイベルメクチン。それは新型コロナウイルス感染症の治療薬にもなり得るとして、同大学は世界27ヶ国以上での治験や各方面への働きかけに余念がないが、有効性はまだ確認されていない。
しかし、効果があるのでは…という希望的観測と期待は高まる一方で、「イベルメクチンの処方を」と望む声は世界でますます増えているという。
■「だったら個人で…」
こうした状況のなかで始まった、「自宅で療養しろと言われるなら、せめて自分でイベルメクチンを手に入れよう」という動き。
輸入代行業者はホームページに「5日間続けて早期に投与すると、新型コロナウイルス感染症の治療効果が期待される」などと謳い、外国からそれを仕入れて個人に販売することに全力をあげている。
寄生虫駆除薬としてすでに安全を確立しているため、業者にとってイベルメクチンのジェネリック錠を入手することは、難しいことではないという。
■米FDAが「絶対にだめ」
そんな中で21日、アメリカの食品医薬品局(FDA)は公式Twitterで「イベルメクチンは新型コロナの治療薬として承認を受けていません。安易な入手と服用は絶対にやめてください」と国民に呼びかけた。
そればかりか、馬や牛のためのはるかに成分濃度の高いものが人間用として出回っているという。
日本でも、輸入代行業者が扱う医薬品に時に偽物が混じっていること、そしてパッケージや説明書きの外国語を理解しないまま服用することの危険性は、かねてから指摘されていた。
■公的救済制度の適用は?
また、普通は1~2回の服用だというイベルメクチンを5日間も摂取した場合、過剰投与として吐き気や嘔吐、胃腸障害、血圧低下、アレルギー反応(アナフィラキシーショック)、めまいやふらつき、痙攣発作などの副作用が現れ、最悪の場合は死亡に至ることもあるという。
しかし、輸入代行業者は副作用に関して「一切責任を負えない」と強調し、そのあたりをすべて承諾し、同意のうえで購入してほしいとしている。
医師から処方されたイベルメクチン以外、どのような副作用が起きても、日本の公的制度である医薬品副作用被害救済制度は適用されない。このことを肝に銘じておくべきだろう。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)