聞いて呆れる「ゼロリスク五輪」 感染者90人超で希望的観測に米メディアがピシャリ
新型コロナ感染の米バレーボール選手は、SNSに「ワクチンも完了、コロナ対策は万全だったのに」と無念そうに綴っている。
ついに日本は東京五輪の開会式の日を迎えたが、幾度となく強調された「五輪はゼロリスク」とは、恐ろしいほどの無責任かつ希望的観測でしかなかったことが、ついに証明されようとしている。
アメリカの『US NEWS』や『CBS News』などが続々と東京五輪の不安な現状を伝え、物議を醸している。
■あり得なかったゼロリスク
『US NEWS』は、“WHO Chief Says Tokyo Olympics Aren’t ‘Zero Risk’ as Athletes Test Positive for COVID-19”という記事を、7月21日付で掲載した。
安全安心な開催と謳われていた東京五輪において、開会式前に何十人もの新型コロナウイルス感染者が出ている現状に、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が「主催者には大変な努力があった。そのためにも大会の成功を祈っている」としたうえで、「ゼロリスクだなんてとんでもない」と述べたことを伝えている。
■選手村でコロナが蔓延か
体操の男女チームが選手村を離れ、ホテル滞在を決行したアメリカの選手団。年齢層が低いためワクチン接種を打っていない選手もいるのか、SNSを見る限り「賢い判断」と支持する声が圧倒的に多い。
選手村では棟や階で国ごとにまとまって滞在するが、アメリカは複数の競技で選手が新型コロナウイルス陽性と判明。
バレーボールのテイラー・クラブ選手はインスタグラムに「ワクチンも2回打ち、あらゆる対策を真剣に行ってきた。それでも感染するなんて」と無念な思いをつづっており、選手村離脱を切望する選手らをただちに「ルール違反だ」と責めるわけにもいかないのが現状だ。
■「90人超」と米メディア
『CBS News』電子版も“東京五輪関連で、何十名ものコロナ陽性者”という内容の記事を出したところだが、具体的には「すでに90人を超えている」と報じている。
その記事についてはTwitterで90近くの「いいね」が付き、現時点でリツイートは62件。
「黙って自宅で過ごしていればいずれ収束するのに。何としても五輪を強行するから…」「とにかく中止の決断を」「ウイルスはあちこちに飛散している。選手村では防ぎようがない」といった声が寄せられているようだ。
■「五輪でまた世界に蔓延」
気になるのは「五輪でまた世界にコロナが蔓延するな」といったコメントだ。21日付で公表されたデータでは、ウイルス検査で陽性が確認された人数が計79名と示されているが、これは今後どれほどの右肩上がりで増えていくのだろうか。
大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は、「状況次第では大会中止の可能性も」と発言。そしてWHOのテドロス事務局長は「ここからの2週間が勝負だ」として、感染対策に一層の緊張感を求めている。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)