チーターに襲われ大出血のボランティア飼育員 動物園への不信感で事故映像を公開
傷だらけで病院に運ばれたボランティア飼育員。園への不信感で、大きなトラウマになってしまった。
南アフリカの小さな動物園で、このたびボランティア飼育員がチーターに襲われ負傷する事故が発生した。血を流しながら病院に運ばれ、数ヶ所を縫ったと同国の『SA peoples news』やイギリスの『The Sun』などが報じている。
■ベルギーからボランティア派遣
事故に巻き込まれたのは、ベルギーから派遣され、南アフリカのある動物園でボランティア活動をしていたアマンディン・レクイムさん(18)。彼女は動物園の名前を明らかにせず、自身が撮影した動画をFacebookで公開した。
同僚の男性がチーターの餌が入ったバケツを肩に乗せ、檻の鍵を開けると、1頭のチーターが檻から逃げ出し、檻の外でビデオを撮影していたアマンディンさんに駆け寄ってきた。
「オーマイガー!」と驚いた次の瞬間、彼女は動物園に響き渡るほどの痛々しい悲鳴をあげ、そこで動画は終了している。
■腕を噛まれ大出血
命に別条はなかったものの、チーターはアマンディンさんの腕に2回噛みつき、4ヶ所から大出血。病院で治療および傷口の縫合を受けたが、背中と足には爪で引っかかれた傷もあるという。
わずか数日前に派遣されたばかりだったというアマンディンさんは、メディアの取材に「死ぬかと思った。たった数秒の出来事が一生のような長さに感じられた」と答えている。
問題は、このチーターが2年前にも職員に噛みついて首と脚を負傷させていた件を、園は彼女に知らせていなかったこと。さらには「この事故のことを内密に」と口止めすらしたそうだ。
■「ボランティア飼育員は注意を」
ボランティア飼育員は、園から指導されることや情報を、全て正しいと信じて素直に従いがちだが、アマンディンさんはこの事故で失望感と不信感を抱くように。
「世界には私のようなボランティア飼育員がいっぱいいる。どうか自分の身をしっかりと守ってほしい」として動画を公開したという。
南アフリカの動物園や国立公園では、過去10年で飼育員がライオンやチーターに襲われる事故が50件以上も発生。施設の設計や安全対策が不十分であるがゆえ、3分の1は死亡事故だという。にもかかわらず事実は闇に葬られ、世間に知らされるのはごく一部だ。
■野生動物の骨を求めビジネスも
一方で、動物たちもさまざまなかたちで犠牲にされている。中国の薬種「虎骨酒」の原料に使用されるなど、アジアでは秘薬を作る目的でサイ、トラ、ライオンなどの骨を必要とし、その密輸が問題になっているのだ。
しかしトロフィーハンティング(趣味の狩猟)も含め、ハンターたちは大金を落としていくとして、現地にはライオンを繁殖させる施設まであるという。
野生動物を狩猟や粗悪な環境下の飼育から守ろうとする組織が数々存在するが、特にNPO法人『ブラッド・ライオンズ』のライオン繁殖産業の廃止を目指す世界的なキャンペーンに今、大きな関心が集まっている。
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(文/しらべぇ編集部・桜田 ルイ)