五輪チケット払い戻し手数料が公式サイトでも20%の米国 「中止なら全額戻せた」
「海外からの観客を受け入れない」と決めた日本政府も、かなりの反感を買っている模様だ。
ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏が10日、無観客が決まった五輪チケットの払い戻しに関し、「手数料さっ引かれて払い戻しとかマジ損した」とツイートし、話題になった。
開催者側の協議の詰めの甘さや決断の遅さも、チケット購入者側を長いこと苛立たせたはずだ。だが、もっと納得がいかないのは、アメリカの購入者たちかもしれない。
■セット商品は手数料不可避か
東京2020チケット販売の公式サイトに申し込むも、抽選で全敗したという人たちが飛びついたとされる、観戦チケットのセット商品。
スポンサー企業が企画した「宿泊付きの観戦ツアー」を中心に、パーティ、VIP席、豪華ラウンジでの飲食などが組み込まれたセット商品も、大きな関心を集めた。
無観客の決定で、公式サイトから購入したチケットの代金は全額返金される模様だが、スポンサー企業によるセット商品では、予約のキャンセルにすでに手数料が発生している部分があり、頭を下げながら顧客に負担をお願いしているのが現状だという。
■IOC公認販売サイトなのに…
一方、アメリカでは今年3月下旬に東京五輪が海外からの観客受け入れを断念したことを受け、ニュージャージー州が本拠地のチケット販売サイト『CosPort』には、大変な苦情が舞い込んだ。
ここは過去10回にわたり五輪チケットを販売してきた、アメリカ唯一のIOCが公認する販売サイトだ。にもかかわらず、手数料として20%差し引いた額を購入者に払い戻すと発表したのだ。
SNSでは早速「IOC公認販売サイトでこれってアリ?」「IOCに大金が入る仕組みなのでは」と炎上していた。
■8万円近く差し引かれる人も
そんな中で『ワシントンポスト』は、メリーランド州在住のヒルデブラントさんという夫妻を取材。彼らは3週間の夏休みを確保し、子供3人と東京で五輪を観戦する予定を立てていたという。
3年間貯めたお金で7つのセッションのチケットを購入し、航空券も宿泊ホテルも手配が済んだところでCosPortから「海外からの観客受け入れはなくなった。チケットの払い戻し手続きを」というメールが飛び込んだ。
日本円にして8万円近い手数料が差し引かれ、しかも返金は夏だと知り愕然としたそうだ。
■「決断した日本政府を恨む」
その記事のコメント欄は、「無観客の決断をした日本政府を恨みたい」「20%は高すぎる。主催者側にもガッポリ入るのでは。五輪は腐敗しきっている」「そもそも五輪は詐欺と賄賂で成り立っている」といったユーザーからの怒りの声で沸いた。
また「イベントのチケット販売は、中止なら全額返金が基本だ。返すのがいやだから無観客でも開催するってことか」「利用規約をよく読まないと怖いことに」といった声もあるようだ。
■イギリスでは全額を払い戻し
この件で苦情が舞い込むことについて、CoSportの最高経営責任者は「こちらもすでに取り扱い手数料というものを収めさせられている。これは日本政府や主催者の責任だ」と主張。米国五輪・パラリンピック委員会はノーコメントを貫いている。
五輪チケットの約60万枚、パラリンピックの3万枚が、海外の観客に販売されたといわれている。イギリスで販売を担当した『Team GB』は全額を払い戻すと約束したこともあり、アメリカの購入者の苛立ちはなかなか収まらない様子だ。
・合わせて読みたい→堀江貴文氏、五輪チケット払い戻しの手数料発生に落胆 「マジ損した」
(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)