東京五輪「無観客」で海外からは… 視聴率と競技パフォーマンス低下の懸念も

選手たちは「五輪貴族」と呼ばれる人々より、ファンの声援がほしいことだろう。

2021/07/09 19:15

オリンピック・東京五輪

開幕まであと2週間ほどという8日、オンラインでの東京五輪・パラリンピック5者協議でついに決定した「1都3県無観客」。

5者とは、大会組織委員会・橋本聖子会長、小池百合子東京都知事、丸川珠代五輪相、IOC国際オリンピック委員会・バッハ会長、IPC国際パラリンピック委員会・パーソンズ会長だ。

海外メディアはそれをどう伝え、どのような見解を添え、また、どのようなコメントが読者から寄せられているのだろうか。英語圏の主要メディアの記事を追ってみた。


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■「せめて再延期が許されれば」

英語圏のメディアはこの件について、総じて「日本の新型コロナワクチン接種率の低さ、デルタ株による世界規模での流行再拡大の流れを考えれば、無観客の決断は仕方がなかったかも。むしろ大勢の人がほっとしている。ただ、これにより日本がこうむる経済的損失は計り知れない」などと報じている。

そんな中、「無観客決定に渦巻く失望と不満」という記事を掲載した『JAPAN TODAY』。幸運にも当選してチケットを購入していた人たちの失望感は、とても大きいと綴られた。

コメント欄では、「あと4ヶ月くらい再延期が可能だったら、この悲劇は避けられた。すべて傲慢なIOC会長のせい」という声が支持を集めているようだ。

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■「視聴率は下がるだろう」

そしてニューヨークのメディア『QUARTZ』は、「無観客ではテレビで放映しても視聴率は低くなる」といった記事を掲載。コロナ禍で実際に無観客試合となったスポーツイベントの番組は、どれも視聴率が低かったそうだ。

欧米ではスポーツイベントに大勢の観客が戻ってきており、選手たちはインタビューで「やはり観客からの声援や拍手に大きなパワーをもらえる」と答えている。素晴しいプレーに会場が沸く、その「感動の嵐」もスポーツ観戦の醍醐味だ。やはり無観客ではどこか白けてしまう。

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■無観客が選手に与える影響

またアメリカの『ABC』は、スポーツ心理学者でMLBニューヨーク・メッツ、NFLニューヨーク・ジャイアンツの選手たちと関わってきたジョナサン・フェイダー氏を取材し、「無観客ではアスリートのパフォーマンスに影響が出ることも」と書いている。

ベテラン勢ほど、どのような環境でも冷静さと集中力を保つ術を心得ているが、いつもと勝手が違う環境だと、ある程度のストレスを感じ、パフォーマンスに影響が出るアスリートは少なくないようだ。

大観衆に圧倒され、野次に動揺しやすいアスリートは無観客を大歓迎。しかし、地元開催で大声援に包まれるはずだった日本のアスリートたちは、落胆が大きいだろうとしている。


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■想像できないその状況

それでも、アスリートの家族・知人・友人、いわゆる「五輪貴族」と呼ばれるVIP、スポンサーとその招待客、政治家などが続々と会場入りし、観戦することになると考えられている。

ルールもよくわからない、その競技の熱心なファンとは言えない人々が大勢含まれる状況とは、いかがなものだろうか。まるで超有名な海外アーティストの来日公演で、曲を知らず一緒に歌うこともできないVIPたちが最前の3列ほどを占める、そんな状況を想像させる。

何より素晴しいプレーが飛び出しても、得点しても拍手がまばらとなれば…。スポーツイベントでこれほどの悲劇もないだろう。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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