コロナ変異株「ラムダ」南米で猛威 ワクチン効果の疑問にWHOの専門家は…
これから真冬を迎える南米。さらに強力な感染力を持つ変異株が出現する可能性は、十分にあるという。
ヒトの体に侵入しやすくなるよう、株を進化させながら感染拡大を図るウイルスたち。新型コロナウイルスの次々と現れる変異株も、その最たるものだ。
欧州ではデルタ型に「デルタ・プラス」が加わり、さらに世界保健機関(WHO)の最新の注目対象は、南米で出現した「ラムダ型」だという。
■WHOもラムダ型に注目
WHO(世界保健機関)は今月14日、「注目すべき変異株」という項目に、ペルーを中心に南米で猛威を振る始めたラムダ型変異株(Lambda variant)を追加した。
新型コロナで19万人超の死者を出しているペルーは人口3,340万人。204万人が感染と報告されているが、検査を受けていない無症状感染者はこの何倍もいると考えられている。
ラムダ型では、細胞との接続部分にこれまでの株にはみられない変異が確認されているといい、「これまでのワクチンで効果があるのか」という懸念の声が世界からあがっている。
■南米で猛威
ドイツの国営メディア『DW(ドイチェ・ヴェレ)』は、ラムダ型は南米の7ヶ国を中心にすでに29ヶ国で検出されているとし、特に深刻なのは昨年8月に初めてラムダ型が確認されたペルーだと伝えている。
ここにきて死者が急増しているペルーでは、新規感染者の8割以上からラムダ型が検出されており、アルゼンチンでは4割弱、チリでは新規感染者の3割強。ほかに、ブラジル、コロンビア、エクアドル、メキシコでも急速に広がっているという。
■「ワクチン接種しかない」
WHOでウイルス学が専門のジャイロ・メンデス=リコ博士は、『DW』の取材に「感染力がより強くなった可能性があるが、ラムダ型がより攻撃的で重症化しやすいことを示す兆候や、ワクチンの効果を疑うべき理由は見つかっていない」と述べ、ワクチン以外に現時点で新型コロナウイルスへの対抗手段がないこと、人体への攻撃力という意味ではデルタ型のほうが深刻であることなどに触れた。
世界の人口の80%以上がワクチン接種を完了しなければ、このパンデミックは収束しないとWHOは考えており、「途上国へのワクチン供給を早急に実現させなければ」と改めて強調している。
■南米から変異株が続々と…
すでにコロナ死者が累計100万人を超えた南米について、「変異株を次々と生む震源地」と表現する専門家は多い。
じわじわと、しかしすでに多くの大陸に広がっている変異株の「B.1.621」も、コロンビアで今年1月に確認されたものだといい、これから真冬を迎える南米では、さらに強力な感染力を持つ変異株が出現する可能性があるという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)