「機内は鼻までマスクを」と注意された乗客 CAの前歯折りブラックリスト入り
ワクチン接種が進んでも、マスク着用を重視するアメリカの人々。61万人超の死者を出した国は真剣だ。
飛行機がいったん離陸したら、逃げ場がなくなる空の旅。このコロナ禍にあって、広いとは言えない機内の空間を、何時間にもわたり多くの人と共有することに、神経をとがらせる人はやはり多い。それをうまく収めるのも客室乗務員の仕事だが、アメリカの上空ではとんでもない事件が起きていたようだ。『World Meters』や『Metro』など海外のメディアが伝えている。
■鼻出しマスクで口論に
ワクチン接種率が上がるにつれ、昨年とは比較にならないほど、空の旅の利用者が増えているアメリカ。しかし、マスクを正しく着用しない客が周囲から厳しく注意され、口論に発展するなど、トラブルになることも少なくない。
このたびの事件は、カリフォルニア州のサクラメント国際空港を飛び立ち、サンディエゴに向かったサウスウェスト航空のフライトで起きた。
■マスクを注意され逆ギレ
飛行機がいよいよ目的地に近づくと、ある座席で女の乗客が酒臭い息で呼吸し、マスクから鼻を出すようになっていた。
周囲が不快感を示していることもあり、女性の客室乗務員が彼女に近づき、「ルールを守り、きちんとマスクで鼻を覆ってください」と注意。すると女は逆ギレし、5分ほど言い争った後、大きく腕を振り上げたという。
■ブラックリスト入り
その一部始終を、前方の座席から録画している客がいた。YouTubeに公開された動画では、殴りかかられた乗務員が顔面と手を血で染め、あわててギャレー(飲食物を用意するスペース)に戻る様子が確認できる。
目的地のサンディエゴ国際空港に到着後、機内に乗り込んできた空港警察の職員は、ヴィヴィアンナ・クィノネスという28歳の女を逮捕。被害にあった乗務員は前歯を2本折られており、サウスウェスト航空はクィノネス容疑者を直ちにブラックリストに登録した。
■飲酒で鼻息も荒く…
こうしたトラブルを起こす乗客のほとんどが、搭乗前も含め大量に飲酒しており、呼吸が荒くなるにつれ、マスクから鼻を出そうとすることがわかっている。この事件を受け、サウスウエスト航空とアメリカン航空は、7月末までフライトでの酒類の提供や販売を停止することにした。
アメリカ連邦航空局によれば、今年1月1日から5月24日までの間に、マスク着用に関して起きたトラブルは約1,900件。暴言暴力などのトラブルも約2,500件報告されており、トラブルを起こした者に高額の罰金を科すことを検討する時期に来たとしている。
■死者61万人
ワクチン接種率が上がっているにもかかわらず、これまで3,400万人の感染者を出したアメリカの人々は、いまだに新型コロナウイルスというものに強い警戒感を抱き、見ず知らずの他人との距離に神経をとがらせている。
無防備、かつ無謀な行動を続ける若者に厳しいのも、変異株「デルタ」では重症化する若者が少なくないためだ。
61万6,000人という大量の死者を出したことも、国民の真剣さにつながっているというアメリカ。東京五輪で感染爆発が起きたとき、「日本の若者の気が緩んでいるからだ」と批判されるような事態だけは、何としても避けたいものだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)