タイのゾウは日本のクマより強烈 食料ほしさに壁を壊して民家に侵入
野生動物との平和な共存は、永遠のテーマだろう。人間には、自分たちがまいた問題の種に責任がある。
タイのある村で今月、野生のゾウが民家に体当たりし、壁に大きな穴を開けて内部に侵入。食料をあさるなどして、人々を震え上がらせた。イギリスの『The Sun』や『INDEPENDENT』などが報じている。
■穴からいきなりゾウの顔
タイ南部の有名なビーチリゾート地であるホアヒンで、20日の早朝、ラチャダワン・フングプラソポーンさんとその妻は、自宅のキッチンからバリバリという大きな音が聞こえて飛び起きた。
何事かと音のほうへ向かうと、なんと壁には穴が開き、そこにはゾウの大きな顔があった。鼻を使い、必死に食料をあさっていたという。
■地域では有名な「問題児」
野生ながら、人々によって「ブンチャイ」と名付けられたこのゾウは、これまでも農作物を荒らすなどたびたび問題行動を起こしていた。同地域では有名なゾウだったのだ。
ブンチャイは鼻を器用に使い、台所の引き出しを開け、ビニール袋に入ったお米を食いあさるのが得意だった。夫妻はその様子を録画し、動画をSNSに投稿。ブンチャイの様子は一気に世界に拡散された。
■野生動物は匂いに敏感
その後、近所の人の協力もあって何とかブンチャイは追い払われたが、誰もが「美味しい味を覚えてしまっては、きっとまた戻って来る」と心配しているという。
壁の修理には50,000バーツ(日本円にして約18万円)かかるといい、途方に暮れるラチャダワンさん。専門家は「野生動物は匂いに引き寄せられる。食べ物はケースや冷蔵庫にしまうように気をつけて」と注意を呼びかけている。
約2,000頭もの野生のアジアゾウが生息しているタイでは、昔から人間とゾウの対立が問題となってきた。ハンターに命を狙われ、ゾウたちは徐々に人里に移動。やがて民家から出た生ゴミや農作物の味をしめれば、森林のエサでは満足しなくなるという。
■すべては人間がまいた種
日本でも北海道を中心にクマの出没が大きな話題になっているが、人間が森林を破壊し、好物のエサを奪ったことが大きな原因だ。クマはそもそも臆病な性格で、民家に迷い込むことでパニックを起こし、意図せず人間を襲い、ハンターにより駆除されてしまう。
自然と文明の共存がテーマの映画、『もののけ姫』の「木植エタ。ミナ人間抜ク、木戻ラナイ。人間殺シタイ」というセリフにこめられているように、科学を発展させ、不自由なく暮らす人類に対する動物たちの憎しみは、増しているようだ。
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(文/しらべぇ編集部・桜田 ルイ)