東京五輪、海外メディア関係者のGPS管理 「民主主義国家のすることか」と海外でも反響 

五輪の開催で危険な変異株を大流行させないために、GPSで海外メディア・関係者の動きを管理するというが…。

2021/06/12 17:50

オリンピック・東京五輪

東京五輪・パラリンピック組織委員会が8日、海外から来日するメディアや関係者(家族も含む)について「入国後14日間はGPSで行動を管理し、違反した者には取材証の剥奪、国外強制退去といった厳しい処分も」と表明した。

抗議やバッシングを恐れてか、武藤敏郎事務総長は9日に「監視ではなく、感染者が出たとき、自分の行動範囲を証明してもらうため」と説明を加えたが、この件は海外でも大きな反響を呼んでいることがわかった。


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■世界のメディアが続々と…

このGPSで行動を管理するという方策は、さっそく『SPORTS ILLUSTRATED』『BBC』『Nation News』『SKY NEWS』といった海外の大手メディアにより広く伝えられた。

なかでも、日本の総合情報を英語で伝えるウェブサイト『JAPAN TODAY』の“Members of media from abroad covering Olympics to be tracked by GPS(五輪で来日する海外のメディアはGPSで追跡される)”というタイトルの記事には、コメントが100件近く寄せられているようだ。

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■ホテルに置き去りに

そのコメント欄で最も目立つのが、「携帯電話を複数台持って行き、GPSの1台はホテルに置きっぱなしになるだけ」という声。日本の人々が「意味のない愚策」と言い切る理由とまったく同じだ。

さらに「足首に巻くGPS追跡装置も考えたとかね。民主主義国家のすることか?」と批判する人もいる。

また、「6ヶ月もしたら、『オリンピックにより新型コロナウイルスの感染爆発が起きた件で、GPS追跡システムがまるで役目を果たさなかったことが明らかになった』って報道があると思う」というコメントも、まさに無きにしも非ずといった感じだ。

認めるまでに6ヶ月かかるのも、日本の独特の隠蔽体質を理解しているからだろう。

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■プライバシー侵害では…?

「この件で、誓約書に署名させるのは行き過ぎ。強要であり、署名する必要はないと私の弁護士は言っている。なんと愚かな..」「日本のセキュリティは甘いし、プライバシー保護もEUの『一般データ保護規則(GDPR)』には及ばない。個人のデータを誰がどう保管、処理するのかも明かされない。もっと議論が必要だ」「GPSで監視、追跡されて不満を感じないなんてジャーナリスト、いないだろう」

こうした批判的なコメントが並ぶなか、目を引いたのは「悲しいが、このニュースに日本人の大半が『もう安心だ』と信じるんだろうな」だった。いや、日本人でも、彼らが14日間も真面目にGPS携帯を持ち歩いてくれるとは思っていない。


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■悪者扱いへの不満も

コメント欄には、「ワクチン接種を2回済ませて来日するというのに?」「五輪で感染爆発が起きたら、海外メディア・関係者が悪者扱いってわけか」といった不満の声も多い。

観客を入れるなら日本国民に大きな動き、流れが生じるが、こちらのワクチン接種がまだなのを「棚に上げるな」と言いたいのだろう。

宿泊先は定められたところのみとし、民泊や友人宅に泊まらないよう海外メディア・関係者に強くお願いしているという組織委員会だが、「9万人もの外国人の動きをGPSで管理するのに、いったい何千人の手が必要か」「GPSまで持ち出す状況とあれば、もう開催は無理ということ」という声にも多くの同意が集まっている。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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