惨殺された女性は実名も晒され… “少年”は法で守られる不条理に波紋広がる
立川市のホテルで起きた男女殺傷事件。実名報道と少年法の問題が波紋を広げている。
■実名報道と少年法の問題に弁護士は…
今回の実名報道と少年法の問題について、レイ法律事務所の近藤敬弁護士は、「実名報道について、唯一法的な規制として存在するのが少年法61条になります。年齢が20歳未満の被疑者については、原則として実名報道が避けられることになっています」。
ところが、「被害者については何ら法規制がないので、今回も被害者の女性が実名報道される一方で被疑者の19歳少年が実名報道されていないという扱いになっています」と解説。
■判断は報道機関に委ねられている
そもそも「実名報道をするか否かに明確な基準はなく、各報道機関による判断」。
近藤弁護士によると、「『社会的に関心が高い』と報道機関が判断した事件に関して、実名報道がなされることが多い傾向にあり、報道機関としては、重大事件については『より実態に迫った真実性の強い記事』を提供するほうが、国民の知る権利に利すると考えている傾向があり、それを実現するために実名報道を行なっていると考えられます」という。
最近では、「いわゆる『京アニ事件』の被害者について、実名報道するか否かで各報道機関の判断が分かれた」ことも記憶に新しい。
また、少年法61条に違反した場合でも「罰則がない」ため、過去には「20歳未満の被疑者であっても、あえて実名報道をした報道機関もあった」という。