「無責任な五輪誓約書」と批判する英紙 水球テスト大会延期の真の理由も言及

「IOCは金のうなるテレビ放映権料にこだわり、絶対に中止や延期を認めない」と、元メダリストも徹底批判。

2021/06/01 11:35

オリンピック・東京五輪

「安全安心な五輪開催を目指す。どうか信頼して来日してほしい」と強調しておきながら、大会期間中に選手団が猛暑で倒れる、新型コロナウイルスに感染するなど体調を崩しても、すべて自己責任として扱われることが判明し、物議を醸している。

この件について、イギリスの『デイリー・メール』電子版が「日本渡航を前に五輪選手団は失望感でいっぱいだ」と大きく報じたが、そこでわかったのは、延期となった4月の水球テスト大会について、日本政府の対応や対策が反感を買っているという事実だった。


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■安全安心を強調する矛盾

「日本で新型コロナウイルスに感染しないとは保証できない。国際オリンピック委員会IOCや主催者はその責任は負わない。選手団はこれに同意したうえで参加することになる」という考えを明らかにしたIOC。エントリーフォームのなかには、安全安心とは裏腹の内容の誓約書が用意され、それに同意の署名をしない者は、東京五輪・パラリンピックに参加することができなくなる。

このことに関し、イギリスの『デイリー・メール』は主催者側の無責任さと冷酷さを批判。選手団は不信感や失望感でいっぱいだと報じた。

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■「クラッシュしか方法はない」

国際的なスポーツ選手のための労働組合「World Players Association/世界選手会」も、IOCおよび大会の主催者には、基本的に開催地の市民と全アスリートの健康や安全を守る注意義務があるとして、この件に異論を唱えている。

ボートで2004年に銀メダルを獲得した同協会イギリス支部のキャサリン・ビショップ代表は、「アスリートが病に倒れ、後遺症などが残っても主催者が何らサポートをしないなど、極めておかしな話です」「彼らは金がうなるテレビ放映権料にこだわっています。もう引き返せないところまで来ており、クラッシュでも起きない限り中止にはならないでしょう」と述べた。

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■北朝鮮の不参加は英断

変異株の流行が始まった日本。医療従事者たちがそろって五輪開催に反対し、中止や延期を求める意見書や署名活動が盛んになっていることは、すでに世界に知られている。

『デイリー・メール』は、新型コロナウイルスは若くても重症化するかもしれず、入院先は確保されるのか、十分な治療は受けられるのかと選手団が不安になっていると訴える。彼らは、IOCのディック・パウンド氏の「アルマゲドンでも起きない限り五輪は開催」という突拍子もない発言を紹介する一方、2016年のリオ五輪で7つのメダルを獲得した北朝鮮が、東京五輪への参加を見送ったことを肯定的に紹介している。


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■「コロナで入国制限」は本当か

その報道のなかで、気になる部分があった。4月に東京辰巳国際水泳場で予定されていた水球のテスト大会が、国際水泳連盟の関係者、審判、スタッフらの来日が叶わず延期となった件で、組織委員会は「新型コロナに関する入国制限で調整がつかなかった」と説明していた。

だが『デイリー・メール』の報道には「日本政府は、テスト大会の開催に必要な安全対策を十分に講じていないとして非難された」とある。5月1日から予定されていた、アーティスティックスイミング(旧名:シンクロナイズドスイミング)の中止も同様だろうか。

国際水泳連盟の慎重な姿勢、自分たちが受けた批判を、厳しい入国制限のせいと伝えていたのだとしたら、日本も相当な確信犯だ。「IOCと同じだ」と言われても仕方あるまい。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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