見る者の「脳をバグらせる」木片が話題に 数秒遅れでやってくる真実に衝撃
どう見ても「水滴のついた木片」としか見えない一枚の板。じつは恐るべき事実が秘められており…。
■「隆起」を「彫る」矛盾が成り立つワケ
恐らく投稿された光景を見て混乱してしまった人の多くは、水滴という一滴の水が付着したいわば「隆起」した状態のものを、隆起とは真逆の「彫る」という動作によって作り出したという点に、脳の処理が追いついていないはず。
じつは記者も自身の脳をいまいち説得し切れておらず、取材の最中に「水滴のように見える部分は『木が彫られている』という解釈でよろしいでしょうか?」「どうしても、本物の水滴がついている(彫ったことにより生じる凹みでなく、盛り上がっている)ように見えるため、目と脳が混乱してしまい…」という質問を投げかけてしまう。
そんなポンコツ感あふれる質問に対し、福田さんは笑顔で「板の部分が元の状態より掘り下がっていて、水滴部分が浮き彫りのようになっています」「なので、水滴はぷくりと立体的になっています」と答えてくれた。
つまりどういうことかというと、水滴部分を除く板の面部分を全て均等な「平面」となるように彫り、「水滴の箇所」を隆起させている…というロジックなのだ。
■この完成度でも「未完」という衝撃
加工の際に難しかった箇所は、やはり「平面」を作り上げる過程だったそう。
福田さん本人は「加工としては、ノミと彫刻刀で彫ってヤスリで仕上げています。平らな面を綺麗に仕上げるのが難しかったです」と振り返っている。
ちなみに多くの人々に衝撃を与えたこちらの作品だが、じつはまだ「未完」の状態。「蝶をモチーフにした作品の一部として作っていて、吸水のシーンとして水彫りたいと思いました」という福田さんのコメントのとおり、これ一枚で「芸術作品」と呼んで差し支えないレベルの技術が込められた木片は、実際には作品の中の「ひとパーツ」に過ぎなかったのだ。
■過去の作品も素晴らしすぎる
ちなみに福田さんは、過去にもカブトムシや蝶といった生き物たちの木彫り作品を投稿しており、いずれも素晴らしい再現度で人々の度肝を抜いている。
カブトムシ完成しました!
木の色味と木目の風合いが結構マッチした気がします。#木彫り #木彫 #彫刻 pic.twitter.com/TPIznOh1dl
— FUKUDA Toru 福田 亨 (@TF_crafts) April 9, 2021
「今すぐ動き出しそう」という言葉がここまで適切な作品には、そうお目にかかれないだろう。
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(取材・文/しらべぇ編集部・秋山 はじめ)