五輪開催で日本も危険? 台湾とシンガポールは国際空港から新型コロナ感染者増
台湾でもシンガポールでも、新型コロナウイルス新規感染者の9割は空港利用者だという。
新型コロナウイルスへの対応が極めて優秀で、国を挙げての公衆衛生管理能力の高さを誇示していると言われてきた台湾とシンガポール。だが変異株の影響で、両国ともいきなりの感染増を見せている。
特に台湾では垂直のような右肩上がりで、ここ1週間の1日あたりの感染者数は平均457人だという。また、クラスターがことごとく空港から発生しているという事実は、五輪の開催を予定する日本にとって無視できない状況だ。
■高評価だった国ほど…
欧米や南アジアに比べ、新型コロナウイルスの感染者数や死者数を非常にうまく抑え込めていると、世界から評価されてきた台湾とシンガポール。
だが「そういう国ほど油断や慣れが働き、何より水際対策が甘く、いったんコロナが流行し出すとなかなか抑え込めなくなる」と話す専門家は多い。この2国もいよいよその様相を呈してきたが、特に台湾では日本と同様にワクチン政策が遅れ、接種率はわずか1.3%だ。
■感染者の9割は空港利用者
台湾では外出時にマスク着用を怠ると、最高で5万円を超える罰金刑が科されるという。
少し前に、中華航空の国際線パイロットが桃園国際空港にイギリス型の変異株を持ち込んだことがわかっているが、入国(入境)では原則14日間の隔離期間が設けられるなか、彼らは特例により3日後には自由に動けるという事実も物議を醸していた。
また、シンガポールではチャンギ国際空港のフードコートでインド型の変異株によるクラスターが発生。感染者の9割ほどが空港などの検査で見つかっているといい、いかに徹底した水際対策が重要かがわかる。
■「五輪開催は悪い予感」と米メディア
台湾もシンガポールも「危険ポイントは国際空港」と断言しているなか、現時点で75%しかワクチン接種が済んでいない五輪選手団や関係者が、来月から日本に計9万人も押し寄せる。
選手やチームスタッフは、出国前96時間以内に2回のウイルス検査、日本到着時とその後3日間にウイルス検査、そして行動範囲の限定を条件に、入国初日から練習が可能。さらに7万8,000人に及ぶ関係者は、野放しになる可能性もあるという。
このたびのニュースを伝えたアメリカ・ニューヨークのメディア『QUARTZ』は、「台湾やシンガポールで起きていることは前兆。東京五輪の開催は悪い予感しかしない」と警告している。
■シンガポールのコロナ対策
なおシンガポールのワクチン接種率は、アジアのなかでダントツの25.3%。また、軽い措置で感染がくすぶり続けることをよしとせず、新規感染が30名であっても、テレワークの徹底と学校の休校を命令。短期間で完全に封じ込めようという意図だ。
国民の命を守ることに厳しいほど真剣なシンガポールと、五輪観戦に園児、児童、生徒ら81万人を動員する計画がひどく不評な日本。ともにアジアの政府とはいえ、考え方はまったく異なるようだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)