ワクチン接種「予約不要・行列なし・無料送迎付き」 全国注目”相馬モデル”を担当部長に直撃
「市民への接種を早く終わらせることが、市全体の医療を守ることにつながる」と担当部長。
2021/05/21 14:15
横浜市では高齢者への新型コロナワクチン個別接種の医療機関を発表したところ、電話が殺到し一般診療に影響がでる事態も発生。各地でトラブルが相次ぐ中、極めてスムーズに進む奇跡の街がある。しらべぇ取材班は、その自治体の担当部長から詳しく話を聞いた。
■7月中旬までに接種終了
福島県相馬市では今月1日から集団接種を開始し、65歳以上の接種希望者9,512人中5,762人の接種を完了(17日時点)。また、5月下旬には基礎疾患がある住民、6月初旬には16歳から65歳未満の約2万人への接種を始め、7月中旬には接種を終える予定だ。
この脅威のスピードの秘訣について、原保健福祉部長は「ひとえに医療関係者と市職員、市民が同じ方向を向いていることにある」と話す。
■市内の医療崩壊を防いだ
相馬市では昨年4月に医師会の要望で、プレハブ施設の発熱外来をつくった。市医師会側が、「個人の医療機関に感染者が押し寄せると地域医療が崩壊してしまう」と考えたからだ。そのため、感染の疑いがある場合には、市民が個人の医療機関には行かずに発熱外来にいくことを徹底。
医師会所属の医師が交代で発熱外来に張り付いてくれたこともあり、市内の医療崩壊を防ぐことができた。
■市が日時を指定し無料送迎
結果として、市、医師会、市民との信頼関係を構築。コロナワクチン接種でもこの信頼が功を奏している。市はワクチン接種の意向と送迎の希望をはがきで調査。
その後接種希望者を住民基本台帳をもとに、住んでいる場所ごとにAからZまでわけた。そこに住む行政区長がくじをひき、地区ごとの順番を決定。そこに住む市民に日時を指定する文書を発送した。
近くに住んでいる人たちが、同じ日時に接種することになるため、無料送迎バスの運行もスムーズにできる。